2020 Fiscal Year Research-status Report
An attempt to establish a method to evaluate alveolar repair mechanisms comparing human emphysema CT images and mouse experiments
Project/Area Number |
20K08573
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
室 繁郎 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60344454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 利洋 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00595712)
田辺 直也 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (30805817)
佐藤 晋 京都大学, 医学研究科, 助教 (40378691)
吉川 雅則 奈良県立医科大学, 医学部, 病院教授 (80271203)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 慢性閉塞性肺疾患 / 胸部CT / 形態学 / 慢性呼吸不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
1 COPD長期臨床データで、CT画像のフラクタル次元が将来の慢性呼吸不全の関連因子であることを見出した。 奈良県立医科大学の臨床データの後方視的検討から、呼吸機能上の肺拡散能、BMI、 および胸部CTにおける気腫化領域の大きさと累積度数から計算したフラクタル次元が、在宅酸素療法導入を指標とした慢性呼吸不全状態への移行と関連することを見出した。検証コホートとして、2006年から2018年まで、京都大学で統一的手順で収集した呼吸機能・画像指標、患者報告型アウトカム、症状日誌を用いて評価した病態変動と増悪頻度等の臨床指標のデータベースを用いた。この京大検証コホートでも同様の結果が再現された。さらに、検証コホートでの多変量解析により、CT画像上の気腫領域のフラクタル次元は、呼吸機能よりも慢性呼吸不全の予測因子として優秀であることが示唆された。 2 マウスモデル実験 肺気腫生成には、プロテアーゼ過剰、酸化ストレス、細胞死、組織修復異常、メカニカルストレスなど、複数の機序が関与していると想定されている。本検討では、プロテアーゼ過剰肺気腫モデルとして、エラスターゼ経気道投与肺気腫モデルを用い脂肪由来間葉系幹細胞(ASC)の移入効果検証マウスモデルを作成した。本モデルは、タンパク分解過剰病態と組織修復との関連を検討するモデルと想定している。本モデルにおいて、ASCの移入は病理学的な気腫化を抑制し、呼吸機能の悪化を軽減したことを見出している。今後は、組織修復に関連する因子を、分子生物学的な手法を用いて解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
後方視的検討は順調に解析できているが、新型コロナ感染症流行の影響で、新規前向き観察研究のエントリーが遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
1 ヒト観察研究においては、倫理員会での審査等は終了していて、いつでもエントリー可能な状態であるため、コロナウイルス感染症の小康期にエントリーを進めていきたいと考えている。既存データのより詳細な検討(CT画像における気腫領域のスーパークラスターと呼吸不全の関係など)も引き続き進めていく。 2 マウス実験においては、マイクロアレイ解析あるいは1細胞解析技術等にて、気腫生成における炎症・細胞外マトリックス分解・組織修復に関する因子の同定を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症流行により、ヒト研究において外来患者のエントリーが滞った。その結果、印刷費等の諸費用が消費されなかった。 翌年度はコロナワクチンの浸透などで患者エントリー数の増加が期待できる。また、平行して進行中のマウス実験をより加速することも考慮する。
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