2021 Fiscal Year Research-status Report
腎臓病に伴う副甲状腺腫瘍化における機能性RNAの機能解析
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20K08644
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
金井 厳太 東海大学, 医学部, 講師 (00535221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 佳一郎 東海大学, 医学部, 客員講師 (10420952)
角田 隆俊 東海大学, 医学部, 教授 (50276854)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 慢性腎臓病 / 副甲状腺機能亢進症 / microRNA / 次世代シーケンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性腎臓病において必発する二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)は、心血管疾患の合併によって生命予後を脅かす重大な疾患であるばかりでなく、透析患者のような慢性疾患においては医療費増大の一因となっている。SHPTの発症を抑え腫瘍化の進展を完全に抑制することは困難であり、臨床ではしばしば治療抵抗性を獲得した難治性SHPTに陥る。これは、SHPT発症メカニズムがいまだ不明なため、根本的に腫瘍化を抑制する方法がないためである。このような腫瘍化に関連する有用なバイオマーカーがないことも、難治性SHPTの発症や進展予測を困難にしている。カルシウム受容体(CASR)とビタミンD受容体(VDR)発現低下は、副甲状腺ホルモン(PTH)産生と細胞増殖を誘導することが知られているが、それらが細胞周期にどのような影響を与えるかは不明な点が多い。microRNA(miRNA)が副甲状腺の細胞機能に影響を与えていることから、本研究では機能性RNAとそのターゲット候補を同定し、副甲状腺結節内における局在を調査する。 これまでにSHPT患者の副甲状腺から回収したRNAの網羅的解析によって得た機能性RNAのデータベースの中でCASRやVDRへの結合が予測されるmiRNAを候補として、副甲状腺細胞での発現を測定し分析する。miRNAとその標的分子との関連を評価することで、副甲状腺細胞におけるmiRNAの機能を明らかにし、in situhybridization(ISH)を行い結節内の局在を明らかにする。 ISHで副甲状腺の結節内局在を調査した結果、複数のmiRNAにおいて呈色反応を確認し結節毎の発現に差異を認めておりPTH等の免疫組織染色を用いて発現の相関を比較する予定である。また、細胞レベルでの差異に注目しある程度の細胞集団を結節毎に数か所サンプリングを行い定量リアルタイムPCR法にて発現を確認中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
近年、わが国ではヒト副甲状腺摘出術が著しく減少しており生理活性の高い検体の採材が困難となっている。そこで保存されるホルマリン固定パラフィン包埋切片を利用し検証を行ったことによりある程度の検体数が確保できたため、研究はおおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
SHPT患者から摘出した副甲状腺腫より次世代シーケンサー(NGS)によって取得した機能性RNAデータベースを用いて、同一個体内の最大腺および最小腺で比較した配列を抽出。それらをTargetScanによって3’UTR領域における相補配列を含む特性から標的mRNA(CASR, VDR, PTH, CGA, LRP2, Klotho, FGFR1, CASP3, CCND1, CCND2, CDKN1A, CDKN1B, MKI67, TGFA, EGFR)に対する候補となる機能性RNAを選別し、in vitroにて機能検証を行う。これまでの実験から副甲状腺結節内の遺伝子発現パターンに差があることが示唆され、組織切片上で発現低下がある単結節部分と正常組織を含むびまん性結節部分をそれぞれ選択的に回収後、標的mRNAおよびmiRNAの結節毎の発現をqPCRにて解析する。またISHにて結節毎の遺伝子発現局在を調査する。 副甲状腺細胞増殖に制御活性のあるmiRNAとその標的mRNAを同定し、高リン環境におけるmiRNA発現の差異を分析し、動物モデルで長期的なmiRNA効果の持続を確認するため、データベースの中でCDKN1AやCDKN1Bへの結合が予測されるmiRNAを候補として、副甲状腺細胞での発現を測定し分析する。アデニン腎不全モデルラットを用いて、高リン環境における副甲状腺の遺伝子発現解析を行い、miRNAとその標的分子との関連を評価することで細胞周期におけるmiRNAの機能を明らかにする。可能であればマウスゼノグラフトでmiRNAの長期的な効果を評価する。
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Causes of Carryover |
感染症蔓延により研究活動が一時停止したため。次年度使用額については翌年度分として請求した助成金と合わせて修正計画に沿って人件費及び細胞培養関連試薬と検査試薬を含む消耗品等に使用する予定である。
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