2022 Fiscal Year Annual Research Report
円形脱毛症におけるAGEs(終末糖化産物)の毛包ストレス-T細胞応答への寄与解明
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20K08693
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
内田 洋平 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (30571856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金蔵 拓郎 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (70177509)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 円形脱毛症 / AGEs(終末糖化産物) / HbA1c / 糖尿病 / methylglyoxal (MG) |
Outline of Annual Research Achievements |
円形脱毛症では、CD8T細胞(ストレス受容体NKG2D+)の病的役割が注目されている。申請者らはこれまで、ヒトNKG2D+γδT細胞が、a)病変部毛包へ浸潤し、b)ex vivoで誘導した毛包ストレスリガンドを認識して退行期毛包を誘導することを明らかにした。本研究では、in vivoでの毛包ストレス誘導因子として、AGEs(終末糖化産物)に着目している。近年、円形脱毛症と糖尿病の関連が指摘されている。高血糖はAGEsを蓄積し、組織ストレスや炎症反応を誘導する。申請者らは、蓄積したAGEsがT細胞を介した炎症を誘導し、脱毛の全身への拡大に関与する可能性について検討した。 糖尿病のない円形脱毛症の患者(17人)と健常者(6人)において、前期糖化産物であるHbA1c値(NGSP、基準値4.9-6.0%)を解析した。患者群では健常者と比較して、HbA1cの有意な上昇が認められた(5.55±0.07 vs. 5.10±0.17, p = 0.039)。 さらに、頭部外の脱毛病変の有無を重症度の指標とした解析では、頭部外病変の合併群では非合併群と比較して、HbA1cの有意な上昇が認められた(5.73±0.07 vs. 5.39±0.08, p = 0.009)。 次に、AGEsが円形脱毛症のバイオマーカーであるかどうかを探るため、治療前の血清AGEsの一つであるmethylglyoxal(MGの)とCML、その受容体RAGEについてELISA法を用いて解析した。患者群では、健常者に比べて、血清MG値に上昇傾向がみられた(p = 0.042)。 すなわち円形脱毛症において、糖化産物の蓄積は、円形脱毛症の病態や重症度に関与している可能性が示唆され、AGEsによるT細胞の特異的な活性化制御機構の解明は、円形脱毛症の病態メカニズムの構築と新たな治療ターゲットにつながる重要な成果であると考えられる。
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