2022 Fiscal Year Annual Research Report
Identification of transcriptional signaling networks that control the quality and quantity of the bone marrow microenvironment
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20K08733
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
細川 健太郎 九州大学, 医学研究院, 講師 (90569584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 文用 九州大学, 医学研究院, 教授 (90365403)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 造血幹細胞 / Foxp2 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、骨髄造血幹細胞(HSC)の支持を行う間葉系幹細胞(MSC)において、転写因子Foxp2がどのような機能を持つのかを明らかにするため、Lepr陽性細胞特異的Foxp2欠損マウスの解析を行ってきた。2022年度はFoxp2欠損マウス由来MSCとHSC双方に関して統合的な解析を行った。その結果、HSCにおいて巨核球系への分化誘導が進むことが明らかとなり、このことがHSCの代謝活性の亢進に繋がっていることが示唆された。一方でこの時のHSCにおいて炎症反応に関する分子経路は有意差は見られなかったため、MSCからの別の経路で分化促進が起きていることが分かった。サイトカインの遺伝子リストを用いた差次的遺伝子からの絞り込みを行うと、いくつかの巨核球分化の制御に関連する因子を見出すことができており、現在それらの機能を細胞生物学的手法によって確認中である。一方、Foxp2欠損MSCはHSCを維持するサイトカイン(SCFやCXCL12など)の発現が低下していたが、これは既存の報告(Tikhonova et al., 2019)から、MSCはOsteo-LineageとAdipo-Lineage遺伝子をそれぞれ発現しているが、HSC支持因子を産生するのはAdipo-Lineageを多く発現するクラスターであることが分かっている。本研究の結果では、Foxp2欠損MSCではOsteo-Lineage遺伝子の発現が上昇し、Adipo-Lineage遺伝子の発現が低下することから、MSCの表現型自体がHSCの支持する表現型から外れ、支持因子の発現も低下することが考えられた。上記の結果をまとめると、Foxp2をMSCで欠損した場合、MSC自体の表現型の変化に由来する支持因子群の発現低下と、巨核球系への分化促進の両面でHSCの機能維持に支障を来していることが考えられた。
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