2021 Fiscal Year Research-status Report
Cushing病におけるUSP8変異体標的蛋白の同定と発症機序の解明
Project/Area Number |
20K08899
|
Research Institution | Okinaka Memorial Institute for Medical Research |
Principal Investigator |
竹下 章 (財)冲中記念成人病研究所, その他部局等, 研究員 (20322646)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 靖博 (財)冲中記念成人病研究所, その他部局等, 研究員 (50202164)
西岡 宏 (財)冲中記念成人病研究所, その他部局等, 研究員 (60218120)
山田 正三 (財)冲中記念成人病研究所, その他部局等, 研究員 (80260131)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | クッシング病 / USP8 / CYP3A4 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】ACTH産生下垂体腫瘍が原因のクッシング病(CD)では、コルチゾール過剰になるとACTH分泌が抑制される「ネガティブフィードバック機構(NF)」が破綻しており、高コルチゾール血症に関わらずACTHの持続的分泌が認められる。しかしながらCDにおけるNF破綻のメカニズムは不明である。 【方法と結果】ACTH産生下垂体腫瘍から抽出したRNAのうち、ACTH前駆体のPOMC遺伝子の発現が高い腫瘍3例と、低い腫瘍3例を選び、DNAマイクロアレイを用いて遺伝子発現プロファイルを比較したところ、POMC遺伝子の発現が高い腫瘍でコルチゾール代謝酵素に関わるCYP3A4遺伝子発現が有意に高いことが判明した。このため50例の腫瘍RNAを用いて定量リアルタイムPCRを行い検証したところPOMC mRNAとCYP3A4 mRNA発現量に正の相関が認められた。68例のACTH産生下垂体腫瘍で免疫染色によるCYP3A4発現を検討したところ、約60%が陰性、弱陽性が約20%、陽性が約20%であり、CYP3A4 mRNAとCYP3A4免疫染色スコアに正の相関が認められた。またUSP8変異陽性のACTH産生下垂体腫瘍でCYP3A4発現が有意に高値であった。腫瘍の初代培養を用いた解析で生理濃度のコルチゾール(≧30 nM)や低濃度のデキサメタゾン(≧3 nM)で用量依存性にCYP3A4 mRNAと蛋白発現、CYP3A4の酵素活性の上昇が認められたことからグルココルチコイド受容体GRを介した発現調節が考えられた。 【考察】ACTH産生下垂体腫瘍の約40%にCYP3A4の発現が認められた。高コルチゾール血症によりGRを介してCYP3A4発現が誘導されることでCYP3A4による腫瘍細胞内コルチゾールの代謝が促進されることがCDにおけるNF機構の破綻の成因のひとつに関与する可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究結果(CYP3A4の発現)に一貫性がなく、その原因の調査のために遅れていた
|
Strategy for Future Research Activity |
腫瘍の初代培養の培養時間の長短により大きく結果(CYP3A4発現)が変わることが判明した。このため今後は研究の進歩が期待できる。
|
Causes of Carryover |
下垂体腫瘍の初代培養におけるCYP3A4発現が薬物添加後、4,5日後以降に上昇することに気付くまでに時間を要した。また下垂体浮遊培養細胞のCYP3A4発現は低いものも多いため高感度な免疫染色を確立するのに時間を要した。これらの問題は解決しつつあるため、次年度の研究費は多くの患者サンプルを用いて培養を行い、リアルタイムリアルタイムPCR方によるCYP3A4 mRNAの発現、免疫染色、酵素活性を評価予定である。
|
Research Products
(6 results)