2021 Fiscal Year Research-status Report
小児固形悪性腫瘍に対する超音波硬度計測における組織硬度と病理学的分子生物学的解析
Project/Area Number |
20K08929
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宗崎 良太 九州大学, 医学研究院, 学術研究員 (10403990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西江 昭弘 九州大学, 医学研究院, 教授 (20457427) [Withdrawn]
孝橋 賢一 九州大学, 医学研究院, 准教授 (10529879)
渋井 勇一 福岡大学, 医学部, 助教 (80801670)
武本 淳吉 九州大学, 医学研究院, 助教 (60621711)
入江 敬子 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (30644728) [Withdrawn]
大森 淳子 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (10826340) [Withdrawn]
藤田 展宏 九州大学, 大学病院, 助教 (30610612)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 小児固形悪性腫瘍 / エラストグラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、超音波検査において組織硬度を計測するelastographyが一般的になりつつあり、乳腺疾患や肝硬変において低侵襲に腫瘍や組織硬度が測定でき、その有用性が報告されている。悪性腫瘍の転移リンパ節において、転移の有無の診断に用いられたり、腎悪性腫瘍と良性腫瘍での組織硬度の差が診断の一助になることも報告されている。一方、小児領域とりわけ小児悪性腫瘍においては、elastographyの組織硬度の検討は行われていない。 今回我々は、これらの考えに基づき、超音波検査によるelastographyの組織硬度と神経芽腫や小児腎悪性腫瘍の組織型や分子生物学的解析とを比較することで、術前組織硬度測定の有用性を検討した。これまで、神経芽腫4例、腎悪性腫瘍4例、肝芽腫2例、卵巣卵黄嚢腫瘍1例、骨盤横紋筋肉腫1例に対して、elastographyの組織硬度を診断時から化学療法中、治療後の分化の過程について、計測を実施した。その結果、12例の検討ではあるが、その組織硬度は腫瘍毎に様々であるであった。しかしながら、高度に分化したと考えられる神経芽腫で、最も高い組織硬度を示した。また、化学療法に伴い、病理組織上はいずれも壊死性変化を認めた腎芽腫において、サイズはそれぞれ増大したものや縮小したものがあったが、その組織硬度はいずれも低下していた。現在、これらの組織硬度の変化をきたす原因を追究するため、マイクロダイゼクションや免疫染色など、分子生物学的検査を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、小児悪性腫瘍について合計12例の計測を行い、その組織硬度は、経時的なデータの収集をおこなっている。その結果、the shear-wave velocity (SWV)は、平均で2.38±0.76 m/sであり、最も組織硬度の高いものは3.97±0.63 m/sで、最も低いものは1.50±0.11 m/sであった。化学療法に伴い組織硬度は上昇したものがある一方、組織硬度の低下を示す症例も認めた。また、間質成分が大部分となっていると考えられる治療後の神経芽腫において、最も高い組織硬度を示した。今後については、計画に従って、診断時の組織硬度の解析及び、化学療法の経時的な変化を追跡してく予定である。また、神経芽腫においては、神経芽腫細胞と間質性分であるシュワン細胞様細胞との比率、腫瘍マーカーやMIBGシンチグラフィーの取り込みの程度、MKIの同一組織内での偏在の有無、FISH法やマイクロダイゼクションを用いたより詳細なMYCN遺伝子増幅の有無や11q loss、17q gainと組織硬度の比較、MYCN蛋白の発現の有無など、組織硬度計測を行った小児固形悪性腫瘍において分子生物学的な評価を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
小児悪性腫瘍において組織硬度計測を行っていき、症例数をさらに増やすとともに、現在治療後、治療中の症例についても組織硬度計測を継続していく。また、免疫染色やレーザーキャプチャーマイクロダイゼクションなどを用いて、同じ腫瘍においても組織硬度が異なる原因について、検討を進めていく。
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Causes of Carryover |
次年度も引き続き小児悪性腫瘍について症例数をさらに増やし組織硬度計測を継続するため。 使用計画:組織硬度計測、免疫染色、レーザーキャプチャーマイクロダイゼクション
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