2022 Fiscal Year Annual Research Report
小児固形悪性腫瘍に対する超音波硬度計測における組織硬度と病理学的分子生物学的解析
Project/Area Number |
20K08929
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宗崎 良太 九州大学, 大学病院, 学術研究員 (10403990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西江 昭弘 九州大学, 医学研究院, 教授 (20457427) [Withdrawn]
孝橋 賢一 九州大学, 医学研究院, 准教授 (10529879)
渋井 勇一 福岡大学, 医学部, 助教 (80801670)
武本 淳吉 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (60621711)
入江 敬子 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (30644728) [Withdrawn]
大森 淳子 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (10826340) [Withdrawn]
藤田 展宏 九州大学, 大学病院, 助教 (30610612)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エラストグラフィー / 小児固形悪性腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
超音波検査において組織硬度を計測するelastographyが一般的になりつつあり、乳腺疾患や肝硬変において低侵襲に腫瘍や組織硬度が測定でき、その有用性が報告されている。悪性腫瘍の転移リンパ節において、転移の有無の診断に用いられたり、腎悪性腫瘍と良性腫瘍での組織硬度の差が診断の一助になることも報告されている。一方、小児領域とりわけ小児悪性腫瘍においては、elastographyの組織硬度の検討は行われていない。 今回我々は、これらの考えに基づき、超音波検査によるelastographyの組織硬度と神経芽腫や小児腎悪性腫瘍の組織型とを比較することで、術前組織硬度測定の有用性を検討した。神経芽腫4例、腎悪性腫瘍4例、肝芽腫2例、卵巣卵黄嚢腫瘍1例、骨盤横紋筋肉腫1例の合計12例に対して、elastographyの組織硬度を診断時から化学療法中、治療後の分化の過程について、計測を実施し、手術で切除した病変の組織学的診断と比較した。その結果、その組織硬度を表すthe shear-wave velocity (SWV)は、平均で2.38±0.76 m/sであり、腫瘍毎に様々であったが、しかしながら、高度に分化したと考えられる神経芽腫で、最も高い組織硬度(3.97±0.63 m/s)を示し、腎芽腫で最も低い組織高度を示した(1.50±0.11 m/s)。 化学療法に伴い、病理組織上はいずれも間質性分の増大や壊死を認めた腎芽腫においてそのサイズは増大したものや縮小したものがあったが、そのサイズの増大や縮小にかかわらず組織硬度はいずれも低下していた。また、神経芽腫術後経過観察中に残存腫瘍内に神経芽腫の再発を認めた症例において、その組織高度は周囲の神経節芽腫成分としてSMVは低値を示した。 小児悪性腫瘍において、組織硬度計測は非侵襲的であり、診断や化学療法の効果判定に有用である可能性が示された。
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