2021 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍間質細胞によって促進される胃癌腹膜播種進展メカニズムの解明
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20K08985
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
安田 忠仁 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特定研究員 (00867947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石本 崇胤 熊本大学, 病院, 特任准教授 (00594889)
三宅 慧輔 熊本大学, 病院, リサーチ・スペシャリスト (10814759) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腫瘍微小環境 / 胃がん / CAFs / EZH2 / 腹膜播種 / 細胞老化 / JAK-STAT阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌細胞をとりまく腫瘍間質において線維芽細胞は、癌細胞や周囲の免疫細胞等との相互作用により活性化され、癌関連線維芽細胞(Cancer associated fibroblast: CAFs)として様々な液性因子を分泌し癌進展に関わることが知られている。一方で、切除不能な腹膜播種形成において、CAFsがどのような役割を果たすかについては未だ分かっていない。本研究の目的は癌関連炎症下で活性化したCAFsの解析により、腹膜播種進展におけるCAFsの意義を明らかにすることである。RNAシーケンシングを用いた網羅的解析とin vitroにおける実験から、炎症性サイトカイン刺激で老化したCAFsがSASP因子を一定期間にわたり分泌・維持していることが分かった。そのメカニズムとして炎症刺激によりポリコームタンパク質群でメチル化活性を担うEZH2の発現低下が起こり、それに伴ってH3K27が脱メチル化されることをChIPシーケンシングによって同定した。さらに進行胃癌患者の腹水細胞において、実際にSASPを呈する老化CAFsが存在することをシングルセル解析により明らかにした。以上の結果に基づいて、in vivoにおいて腹膜播種モデルマウスを用いて生体レベルでの検証を行い、老化CAFsがマウスの腹腔内腫瘍を増大させることが分かった。さらにSASP因子により癌細胞のSTAT3リン酸化が起こることから、JAK-STAT阻害剤(WP1066)を用いた治療実験をおこない、腹腔内腫瘍が縮小することを確認した。得られた研究成果は腹膜播種転移巣のCAFsによって活性化するシグナルをターゲットとした分子標的の創出につながり、臨床的意義は大きいと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画をもとに現在までの進捗状況を説明する。①胃癌進展に関わるCAFs由来SASP因子の検討:炎症性サイトカインで刺激したCAFsにおいてRNA シーケンシングを用いた網羅的解析を行い老化関連遺伝子、SASP関連遺伝子がenrichしていることを確認した。②CAFsにおけるヒストン修飾の検討:EZH2の過剰発現系を作成し、炎症性サイトカイン刺激によるSASP因子の発現変化を確認した。さらにCAFsがSASP因子を一定期間にわたり分泌・維持するメカニズムを炎症刺激により起こるEZH2の発現低下に伴ってH3K27が脱メチル化されることをChIPシーケンシングによって同定した。③胃癌細胞内シグナルの検討:炎症性サイトカインによってSASPを誘導した老化CAFsの培養上清によって増殖能を高めた胃癌細胞においてJAK-STATシグナルが活性化していることを同定し、JAK-STAT阻害剤(WP1066)を用いて増殖を抑制できることをin vitroで確認した。④胃癌切除検体や癌性腹水を用いた検討: 臨床検体における候補分子および下流シグナルの発現を確認した。さらに進行胃癌患者の癌性腹水サンプルを用いて、シングルセル解析を行い、腹水中にも老化CAFsが存在し、SASPを呈していることを確認した。⑤In vivoモデルによる検討:In vitro で得られた結果について胃癌細胞株を用いて腹膜播種モデルマウスを作製し、SASPを呈した老化CAFsが腹腔内腫瘍を増大させることが分かった。さらにその際に活性化するJAK-STATシグナルをターゲットとしてWP1066をin vivoで用い、腫瘍縮小効果を確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに代謝性疾患における炎症状態においても同様の現象を確認しており、今後は慢性代謝性疾患における線維芽細胞の細胞老化と癌転移性ニッチの形成について検討する。その際に細胞老化除去により、慢性代謝性疾患の治癒や予後の改善を目指した研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
予定していたより旅費の使用額が少なかったため。来年度に合算して使用できる見込み。
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[Journal Article] Inflammation-driven senescence-associated secretory phenotype in cancer-associated fibroblasts enhances peritoneal dissemination2021
Author(s)
Yasuda T, Koiwa M, Yonemura A, Miyake K, Kariya R, Kubota S, Yokomizo-Nakano T, Yasuda-Yoshihara N, Uchihara T, Itoyama R, Bu L, Fu L, Arima K, Izumi D, Iwagami S, Eto K, Iwatsuki M, Baba Y, Yoshida N, Ohguchi H, Okada S, Matsusaki K, Sashida G, Takahashi A, Tan P, Baba H, Ishimoto T
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Journal Title
Cell Reports
Volume: 34
Pages: 108779~108779
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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