2022 Fiscal Year Annual Research Report
膵星細胞活性化遺伝子に着目した小胞体由来のオートファゴソーム膜起源の解明
Project/Area Number |
20K09036
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
坂井 寛 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (80611665)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江上 拓哉 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (40507787)
久保 真 九州大学, 医学研究院, 准教授 (60403961) [Withdrawn]
中山 宏道 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (80866773)
大内田 研宙 九州大学, 医学研究院, 准教授 (20452708)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 膵癌 / 膵星細胞 / オートファジー / 小胞体 / 隔離膜 / 新規治療薬 / ERAP2 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は膵星細胞(PSC)活性化遺伝子のうち小胞体に関わる遺伝子に着目し、オートファジー制御の観点から新たな膵癌治療薬を開発することを目的とする。手術切除標本から得られた膵癌組織由来の活性化ヒトPSC(M-PSC)と非膵癌組織由来の非活性化ヒトPSC(N-PSC)をマイクロアレイに提出し、遺伝子発現を比較した。M-PSC特異的に発現する遺伝子を複数同定し、その中で小胞体関連遺伝子に着目した。PSCと膵癌細胞(PCC)の両者において、小胞体関連遺伝子の1つである遺伝子ERAP2を、siRNAのトランスフェクションを用いてノックダウンすると、LC3の減少、p62の増加を認め、PSCおよびPCCのオートファジーが阻害された。また、PSCにおいてERAP2のノックダウンによりαSMAの低下、脂肪滴の増加を確認し、ERAP2のノックダウンがPSCの不活性化につながり、腫瘍と間質の相互作用が減弱したと考えられた。さらに小胞体ストレス誘導剤tunicamycinを投与すると、ERAP2をノックダウンしたPSCではunfolded protein response(UPR)シグナル経路のIRE1αおよびPERKが減少したため、ERAP2は小胞体のUPRシグナル経路を介したオートファジー制御に関与している可能性が示唆された。次に免疫不全マウスを用いたPSCとPCCの同所移植モデルにおいて、ERAP2をノックダウンしたPSCをPCCと共移植した場合、通常のPSCを共移植したコントロール群と比較して、腫瘍の形成が有意に抑制された。さらにゲムシタビンを投与するとERAP2のノックダウン群で腫瘍の増殖が有意に抑制され、ERAP2のノックダウンにより膵癌組織の線維化を抑制し、ゲムシタビンの抗腫瘍活性を増強したと考えられた。
|