2020 Fiscal Year Research-status Report
RNF43遺伝子異常によるWNTシグナルネットワークを介した膵発癌機構の解明
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20K09038
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
杉原 栄孝 熊本大学, 病院, 非常勤診療医師 (10608863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石本 崇胤 熊本大学, 病院, 特任准教授 (00594889)
有馬 浩太 熊本大学, 病院, 非常勤診療医師 (10792616)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Rnf43 / Gnas / IPMN |
Outline of Annual Research Achievements |
膵癌の発生母地として、膵管組織より発生するpancreatic ductal adenocarcinomaの頻度が最も多く、次いで膵管内乳頭粘液腫瘍(IPMN)が癌化する膵管内乳頭粘液腺癌(IPMC)となる。現在、IPMN腫瘍は当科で以前樹立したGNASLSL-R201H/+;KrasLSL-G12D/+;Ptf1aCre/+マウスによりIPMNの発現を確認した。しかし、本腫瘍は腹腔内の炎症が著名であり、非常に予後不良であったため前臨床モデルとしては不適であった。膵癌の発癌過程は、遺伝子変異による多段階的に発生することが分かっており、IPMNにおける変異遺伝子はKRAS、GNAS、RNF43が知られている。本研究では、RNF43、KRAS変異による膵腫瘍形成および特定の遺伝子変異と関連した癌代謝の変容について検討することを目的とした。膵腫瘍を形成する遺伝子改変マウスの腫瘍サンプルを用いたトランスクリプトーム/代謝物解析に加え、in vitroにおいてがん細胞と腫瘍間質細胞間での代謝物競合に注目した解析をおこなう予定である。膵癌組織はがん細胞とともに間質が豊富に存在するため、両者でのエネルギー・代謝物の競合は癌の悪性度や進行に深く関わると考えられる。本研究計画において実施する解析により、遺伝子異常によって起こる膵発癌過程が、癌細胞周囲の間質細胞にどのような影響を与えるかについて、新しい知見に繋がることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遺伝子発現マウスの作製が予想より時間がかかっている。交配を重ねるうちに妊孕性の低下など認め、時間がかかっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き目的の遺伝子改変マウスの作製を行う。一方で、マウスの作製が予定通り進まなかった場合の代替の検討項目として、膵腫瘍形成におけるがん細胞と間質に存在する細胞の代謝競合にも注目し解析を進めている。RNF43、KRASに遺伝子変異を有する膵癌細胞株とヒト膵癌組織から樹立したCAFsの直接共培養をおこない、グルコース競合および代謝産物による相互作用について検討を開始している。
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Causes of Carryover |
物品費と旅費の支出が当初予想していたよりも使用しなかった。来年度には合算して使用できる見込み。
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