2021 Fiscal Year Research-status Report
RNF43遺伝子異常によるWNTシグナルネットワークを介した膵発癌機構の解明
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20K09038
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
杉原 栄孝 熊本大学, 病院, 非常勤診療医師 (10608863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石本 崇胤 熊本大学, 病院, 特任准教授 (00594889)
有馬 浩太 熊本大学, 病院, 非常勤診療医師 (10792616)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膵癌 / LDHA / CAFs |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、RNF43、KRAS変異による膵腫瘍形成および特定の遺伝子変異と関連した癌代謝の変容について検討することを目的とした。in vitroにおいてがん細胞と腫瘍間質細胞間での代謝物競合に注目した解析をおこなっている。具体的には、グルコース代謝酵素であるLDHAに注目し、膵癌におけるその発現が予後不良と有意に相関を認めることを明らかにした。一方でin vitroでの解析ではLDHAの発現抑制をおこなった膵がん細胞の増殖能に変化はなく、予後不良となる原因としてグルコース代謝が亢進した癌細胞による腫瘍微小環境への影響が重要であると考え解析をおこなっている。現在までにがん細胞由来の乳酸が腫瘍間質中のがん関連線維芽細胞(CAFs)に刺激を与え、増殖および特定のサイトカインの分泌を促進していることを見出だしている。本研究計画において実施する解析により、遺伝子異常によって起こる膵発癌過程が、癌細胞周囲の間質細胞にどのような影響を与えるかについて、新しい知見に繋がることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膵癌の代謝と間質に着目し、解析は順調に進んでいる。 In vivoでの解析準備も問題なく終えており、LDHA阻害剤の効果検証をおこなっていく。
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Strategy for Future Research Activity |
悪性腫瘍においてLDHA発現が患者予後不良因子であることが報告されており、膵癌におけるRNF43やKRASといった遺伝子変異する過程でLDHA発現が増強する可能性が予想される。まずLDHAによる細胞の変化を検討するためヒト膵癌細胞株をもちいてLDHA KDを行い、腫瘍の増殖能の変化や代謝に及ぼす影響を検討していく。LDHAは解糖系に関与するタンパクであり、特に代謝への影響は重要と考えられるので細胞外フラックスアナライザーを用いて、リアルタイムに膵癌で起こっている代謝を検討していく。 次にマウス癌細胞株のPanc02に対してLDHA KOを行う。作成した細胞株をマウスの皮下に移植し、腫瘍のサイズの変化を検討する。またLDHAは解糖系を亢進することで通常の細胞と比較して糖を多くとりこみ乳酸を多く生み出すことが示唆される。乳酸が増加することで免疫細胞や線維芽細胞といった腫瘍微小環境に影響を及ぼすことが予想されるためFACSや免疫染色等で腫瘍微小環境への変化を検討する。 また、LDHA阻害剤であるFX11を用いて、KOと同様の再現性を評価するとともにLDHA阻害による治療効果を検討していく。
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Causes of Carryover |
消耗品の節約などで若干端数が出たが、次年度に合算して使用できる見込み。
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[Journal Article] Metabolic shift to serine biosynthesis through 3-PG accumulation and PHGDH induction promotes tumor growth in pancreatic cancer2021
Author(s)
Itoyama R, Yasuda-Yoshihara N, Kitamura F, Yasuda T, Bu L, Yonemura A, Uchihara T, Arima K, Hu X, Jun Z, Okamoto Y, Akiyama T, Yamashita K, Nakao Y, Yusa T, Kitano Y, Higashi T, Miyata T, Imai K, Hayashi H, Yamashita YI, Mikawa T, Kondoh H, Baba H, Ishimoto T
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Journal Title
Cancer Letters
Volume: 523
Pages: 29~42
DOI
Peer Reviewed