2023 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム・遺伝子変異プロファイル解析を用いた膵癌における新規治療戦略の構築
Project/Area Number |
20K09094
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
浅野 賢道 北海道大学, 大学病院, 助教 (10756688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 透 北海道大学, 医学研究院, 助教 (70645796)
土川 貴裕 北海道大学, 大学病院, 講師 (50507572)
平野 聡 北海道大学, 医学研究院, 教授 (50322813)
畑中 豊 北海道大学, 大学病院, 特任准教授 (30589924)
畑中 佳奈子 北海道大学, 大学病院, 特任講師 (10399834)
天野 虎次 北海道大学, 大学病院, 特任助教 (20374514)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 膵癌 / 化学療法 / ゲノム解析 / 遺伝子変異 / precision medicine |
Outline of Annual Research Achievements |
EUS-FNAにより得られた生検検体では検体量が極めて少なく、十分量のDNA抽出が困難であったため、生検検体を用いた遺伝子変異解析は断念し、術前治療前の解析には血液検体を用いることとした。 28症例に対する術前治療前ctDNAの解析を行った結果、変異を認めた症例は12例(12/28, 43%)であった。ctDNAの解析では、しばしば骨髄幹細胞のゲノム変異(clonal-hematopoiesis; CH)の混入による疑陽性の可能性があり、CHの状況を確認するため、変異を認めた症例の末梢血中の白血球のゲノム解析も施行した。その結果、ctDNAで変異を認めた12例のうち3例(3/12, 25%)が正常白血球と同様の変異を認め、疑陽性である可能性があった。同一症例の術前治療後の血液検体の解析も行ったが、変異を認めた症例は7例(7/28, 25%)のみであり、変異プロファイルが変化していた。さらに臨床病理学的因子との検討を行ったが、ゲノム変異も含め有意な予後予測因子は同定できなかった。 1年未満で再発を認めた症例を「早期再発」、5年以上生存した症例を「長期生存」とし、各群25例の切除組織を用いた変異解析を行った。その結果、早期再発群で変異を認めたのは、KRAS、TP53、SMAD4、CDKN2Aであり、特にTP53とSMAD4は長期生存群との間に差を認める傾向にあった(p<0.1)。ゲノム情報と臨床病理学的因子を検討した結果、予後予測因子としてリンパ節転移や門脈浸潤、TP53とSMAD4を用いたmutation score、CA19-9が同定された。これらのうち、リンパ節転移や門脈浸潤は術前画像診断による正確な評価が困難であることより、CA19-9、TP53とSMAD4を用いたmutation scoreの2因子が長期生存予測に有用である可能性が示唆された。
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