2022 Fiscal Year Annual Research Report
理想的な血管再生を誘導する多層性動脈グラフトの創製
Project/Area Number |
20K09158
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
太良 修平 日本医科大学, 医学部, 講師 (80465319)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中澤 靖元 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20456255)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 生体吸収性 / 人工血管 / シルクフィブロイン / ポリビニルアルコール / シルクエラスチン |
Outline of Annual Research Achievements |
効果的な血管リモデリングを達成する人工血管の創製のため、吸収期間の異なる2つの素材を用いてエレクトロスピニング法による多層性シートを作成した。 具体的には、吸収期間の長いシルクフィブロイン(SF)と吸収期間の短いポリビニルアルコール(PVA)を用いて、段階的に吐出スピードをそれぞれ変えることにより、多層構造とした。PBSに7日間浸漬させた重量損失率は、PVAの比率が高いほど高いことが示された。また、引っ張り試験による応力・ひずみ曲線では、PVAの比率が高いほど、最大強度はやや低下するものの、ヤング率は低下する(弾性力が高い)ことが示された。この傾向は、PBS浸漬7日目においても同様であった。ヒト皮膚微小血管内皮細胞を用いた細胞接着試験(播種後2時間)では、多層性シートの血管内腔面にあたる組成、最外層にあたる組成の両方で良好な細胞接着を確認した。 これらのin vitro の結果をもって、ラット腹部動脈への埋植試験を実施した。SF単体では、シートのハンドリングが悪く縫合部の締め上げにより狭窄を来してしまうため、SFにポリウレタンを混合した素材を使用、PVAとの多層構造性のシートを作製し、埋植した。結果、良好な開存と組織リモデリングを確認した。 より安全で生体適合性の高いシートの創製を目指して、同様のコンセプトでPVAをシルクエラスチンに変更して実験を行った。それぞれのタンパク質を培養液に添加し血管内皮細胞、血管平滑筋細胞の接着と増殖を観察し、これらのタンパク質が接着や増殖を妨げないことを確認した。 最後にラット腹部動脈に埋植し良好な血管リモデリングが起こっていることを確認した。
|