2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K09168
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
杉尾 賢二 大分大学, 医学部, 教授 (70235927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮脇 美千代 大分大学, 医学部, 講師 (30404388) [Withdrawn]
阿南 健太郎 大分大学, 医学部, 助教 (60468006) [Withdrawn]
橋本 崇史 大分大学, 医学部, 助教 (40738126)
小副川 敦 大分大学, 医学部, 准教授 (90432939)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 非小細胞肺癌 / 進化系統樹 / 遺伝子多様性 / バイオマーカー / EGFR / cfDNA / 分子モニタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
原発性肺癌は完全切除が行われても再発率は約50%あり、5年生存率も40~60%と未だ難治性癌であり、集学的治療が必須である。腫瘍内遺伝子多様性(空間的多様性・時間的多様性)は治療の感受性や耐性を規定する重要な因子である。本研究の目的は、治療基準の設定、集学的治療の適応、再発前の早期治療開始時期などを明確にすることである。本年度までに、以下の研究成果を得た。1)非小細胞肺癌の手術症例の原発巣および転移巣から核酸を抽出し、NGS解析を行い、遺伝子多様性を明確にする。2020年4月から2022年12月までの194例の腺癌のうちEGFR変異81例、ALK4例、KRAS4例、RET1例、ERBB-2 1例を認めた。これらドライバー遺伝子変異陽性症例のうちII, III期はEGFR7例(L858R 4例, 19del 3例)、ALK2例であり、解析を進めている。2)局所進行非小細胞肺癌患者4例の術後経過観察中・再発時の血液(血漿)を定期的に採取し、cfDNAを調整し、NGSによる遺伝子解析を行い、手術時の切除検体試料に認められた遺伝子変異の時間的多様性を解析した。術前の血漿で、手術検体と同じEGFR変異を認めた症例は1例のみで、定期観察中に再発を認めた2症例のうち1症例に腫瘍由来と考えられる複数の遺伝子変異を認めた。また、再発を認めなかった2症例でも、PTEN、MAP2K1、IDH1、RETの変異を認め、これらの変異は腫瘍由来である可能性がある。1症例で、原発巣のEGFR L858R変異に加え、EGFR-TKI治療中の再発巣からL858R+E709Kを検出した。再発時の血漿でEGFR L858R変異のみが検出、転移巣摘出後の血漿ではEGFR L858R変異は消失した。再発部の手術により腫瘍由来のctDNAが消失した可能性が示唆され、血漿における分子モニタリングを提示した症例となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.非小細胞肺癌の手術症例のドライバー遺伝子陽性症例と陰性症例について、原発巣およびリンパ節転移巣・遠隔転移巣などの空間的遺伝子多様性を明確にする。2020年4月から2022年12月までの194例の腺癌のうちEGFR81例、ALK4例、KRAS4例、RET1例、ERBB-2 1例を認めた。II, III期はEGFR7例(L858R 4例, 19del 3例)、ALK2例であり、解析を進めている。 2.血漿中のcfDNA解析(liquid biopsy)による子モニタリング 局所進行非小細胞肺癌患者の術後経過観察中・再発時の血液(血漿)を定期的に採取し、cfDNAを調整し、NGSによる遺伝子解析を行い、手術時の切除検体試料に認められた遺伝子変異の時間的多様性を解析した。 EGFR陽性局所進行肺癌(II-IV期)手術後(4症例)の血液分子モニタリングをAVENIO ctDNA Expanded Kitを用い解析:術前の血漿で、手術検体と同じEGFR変異を認めた症例は4例中1例のみであった。定期観察中に再発を認めた2症例のうち1症例に腫瘍由来と考えられる複数の遺伝子変異を認めた。また、再発を認めなかった2症例でも、PTEN、MAP2K1、IDH1、RETの変異を認め、これらの変異は腫瘍由来である可能性がある。1症例で、原発巣はEGFR exon21 L858R変異のみであったのが、EGFR-TKI(gefitinib)治療中の脈絡膜再発巣(oligometastasis)からL858R+E709Kを検出した。脈絡膜再発時の血漿ではEGFR L858R変異のみが検出されており、転移巣(眼球)摘出後の血漿では、EGFR L858R変異は消失し、血漿における分子モニタリングを提示した症例となった。他の症例においては、モニタリングした血漿から腫瘍由来と考えられる同一の変異は検出されなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
経過観察中の症例の血漿中のcfDNA解析(liquid biopsy)による子モニタリングを継続する。当初の推定より再発頻度が少なく、症例集積が限られている。しかしながら、対象症例の遺伝子多様性の詳細な解析により、進化系統樹の作成を行い、臨床的意義を明確にしてゆく。
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Research Products
(12 results)