2021 Fiscal Year Research-status Report
組織障害性HMGB1に着眼した肺虚血再灌流障害に対する新規戦略の確立
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20K09176
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
大谷 真二 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教 (10770779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山根 正修 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (20432643)
豊岡 伸一 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (30397880)
杉本 誠一郎 岡山大学, 大学病院, 准教授 (40570148)
王 登莉 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (40815693)
西堀 正洋 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 特命教授 (50135943)
岡崎 幹生 岡山大学, 大学病院, 講師 (50467750)
三好 健太郎 岡山大学, 大学病院, 助教 (50534773)
阪口 政清 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (70379840)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 虚血再灌流障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
①マウス肺門クランプモデルにおけるHMGB1の動態:HMGB1は通常核内に限局しているタンパクである。マウス左肺門クランプモデルにおいて、再還流後2時間までのHMGB1の血中濃度を測定したところ、HMGB1が時系列に沿って上昇することが確認された。また組織の免疫染色において、虚血再還流障害を加えた群では、HMGB1が核内よりむしろ細胞質で強く染色され、細胞障害性の刺激により核内から細胞質へ移動している様子が確認された。この現象はHMGB1抗体を投与することで抑制されたことから細胞障害によりHMGB1には自己分泌経路が出現し抗体投与によってその経路を停止させることができるのではないか、と考えられた。 ②抗体投与による虚血再還流障害の抑制:HMGB1抗体を投与する事による虚血再還流障害の抑制効果を調べた。肺機能、組織障害の改善を生理学的、組織学的に確認することができた。 ③抗体投与による抗炎症効果:HMGB1抗体を投与するとサイトカインの産生が低下することが確認された。HMGB1はRAGEやTLRといったレセプターのリガンドであり、MAPKの経路を介しサイトカイン産生を行っているが、HMGB1抗体によりMAPKの経路が抑制されることが示された。 ④抗体投与によるアポトーシスの抑制:肺組織の細胞死を定量するため組織でのアポトーシスを検索した。虚血性再還流障害によるアポトーシスが抗体投与により抑制されていることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、マウス肺虚血再還流障害モデルにおいてHMGB1の動態と抗体投与による治療可能性を検証することである。本モデルにおけるHMGB1の動態と抗体投与による虚血再還流障害の抑制効果は示されたと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は肺移植での臨床応用に向けて、かねてより当教室で開発されているマウス肺移植モデルでの投与実験を進めることが必要であると考えている。移植でのHMGB1の働きを十分に検証したのち、実際の使用に向けてドナーでの投与、レシピエントでの投与、灌流液での投与と投与するタイミングによる効果の違いも検証する必要があると考えられる。 ある程度の長期使用で安全性が確認されれば、既存のシクロスポリンやタクロリムスといった免疫抑制剤との比較試験も臨床使用に向けては必要な検討であると思われる。
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Causes of Carryover |
追加研究の調整により次年度使用が生じた.
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Research Products
(1 results)