2021 Fiscal Year Research-status Report
Role of PI3K / Akt pathway on cardioprotective effects of flavonoids against ischemia-reperfusion injury
Project/Area Number |
20K09192
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
小口 健史 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (60201399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中楯 陽介 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (50597002)
石山 忠彦 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (90293448)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | フラボノイド / PI3K/Akt経路 / 心筋虚血 |
Outline of Annual Research Achievements |
心臓における虚血-再灌流障害にはPI3K/Akt 経路が関与しているとされる。一方、一部のフラボノイドには、PI3K/Akt経路への作用が報告されている。また、一部のフラボノイドは脳梗塞障害を軽減することが報告された。本研究では、フラボノイドとその代謝物の心筋虚血-再灌流障害に対する保護効果と作用機序を解明することを目的とした。 令和3年度は、フラボノイドの一つであるダイゼインの代謝物質・エクオールに着目して、S-エクオール(1 μmol/L)の心筋虚血に対するプレコンディショニング効果について心機能の回復面から検討を行った。ペントバルビタール麻酔下にラットから心臓を摘出して、大動脈・肺静脈・肺動脈カニュレーションを行いLangendorff法にて灌流を行い、肺静脈から左心室内にバルーンカテーテルを挿入して左心室圧(LVP)を測定した。LVPから左室dP/dt maxを求めて、心収縮能の指標とした。肺動脈から流出する冠灌流液を経時的に採取して冠流量とした。上記のラット摘出心臓モデルにおいて、Non-flow ischemiaによる虚血再灌流実験を行い、対照群とエクオール投与群の間で虚血再灌流時の心機能の回復を比較検討した。 これまでの実験では、エクオールを虚血前から投与すると、対照群と比較して虚血再灌流時の心機能の回復促進を示唆する結果が得られはじめている。もし、自然に存在して消化管から吸収されるフラボノイドの生体内代謝物の心筋虚血保護作用が証明できれば、心臓外科手術や虚血性心疾患を合併した患者の麻酔管理において新たな心筋保護戦略になることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フラボノイドの代謝産物であるエクオールの心筋プレコンディショニング効果を示唆する結果が得られ、本研究の目的であるフラボノイドの心筋保護作用を代謝産物の面から解明しつつあり、2年目の研究としておおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、エクオールの心筋プレコンディショニング効果について、PI3K/Akt経路の面からも解明するために、PI3K経路の阻害薬であるWortmanninを灌流液に加えた状態で、エクオールの心筋保護作用が抑制されるか検討を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
ラットから心臓を摘出して、大動脈・肺動脈にカニュレーションを行いLangendorff法による摘出心臓標本を用いて研究を行ったが、2年目はエクオールの投与条件を決定する予備実験に予想以上の期間が必要になり、Rat ELISAキットや薬剤などの物品購入が遅れ繰越金が生じた。また、Covid-19流行の影響で学会への参加ができず旅費を使用することができなかった。 次年度は、PI3K/Akt経路の面からも解明するためPI3K経路の阻害薬であるWortmannin やRat ELISAキットを購入する予定である。過去の摘出心臓標本を用いた研究の経験から、その他の消耗品として、実験動物、灌流用薬剤、測定用薬剤、記録用紙、ピペットチップを該当分購入する。また、実験結果からのデータ分析、学会発表、論文作成のためのパソコンソフトを購入する予定である。
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