2023 Fiscal Year Annual Research Report
単心室症における急性右心不全に対する補助循環の検討
Project/Area Number |
20K09266
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小谷 恭弘 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (90534678)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒子 洋介 岡山大学, 大学病院, 講師 (20459184)
朔 啓太 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (40567385)
清水 秀二 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (80443498)
笠原 真悟 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (90233692)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | フォンタン不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
単心室に対するフォンタン手術後患者においては、機能的右室が存在しないという解剖学的問題が残るため、遠隔期に右心不全を発症する患者が増加している。そこで本研究では、フォンタン循環における右心不全の急性増悪を想定して、フォンタン循環の動物モデルを作成するとともに、シミュレーションを用いて補助循環の最適化を行い、確立した動物モデルを用いて実証試験を行うことでフォンタン循環に対する右心補助循環の臨床応用を目指す基礎データを取得することを目的とした。 今年度は、前年度で行ったフォンタン不全のコンピュータシミュレーションモデルについて、フェネストレーションが血行動態に与える影響について、さらにシミュレーションを行い検証した。結果として、肺血管抵抗が5WU/m2であると仮定した場合には、フェネストレーションは中心静脈圧を21mmHgから18mmHgと有意に低下させることが判明した。またこのことにより、循環血液量を691mlから608mlに減量しても心拍出量は変わらなかった。一方、心収縮力低下、心拡張能低下、さらに体血管抵抗上昇などの他のフォンタン不全の要因に関しては、フェネストレーションによる循環改善効果は認めなかった。 本研究の研究期間を通じて、フォンタン不全のブタモデルを作成することに成功し、そのモデルを使用して、右室補助の有効性を検証した。右室補助の動物実験では、部分補助循環では、中心静脈圧の上昇を来すことから、完全補助循環が好ましいことが証明された。また、コンピュータシミュレーションを用いたフォンタン不全に対する左室補助モデルでは、肺血管抵抗が上昇している場合を除き、心機能低下において有効であることが示された。これらのことより、肺血管抵抗が上昇する症例においては、左室補助循環よりも、フェネストレーション作成もしくは右室補助循環の選択が好ましいことが示唆された。
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