2021 Fiscal Year Research-status Report
Endothelial glycocalyx damage in pathophysiology of sepsis: analysis from complex acute on chronic damage and ultrastructural alterations
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20K09281
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
久志本 成樹 東北大学, 医学系研究科, 教授 (50195434)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 英志 岐阜大学, 医学部附属病院, 准教授 (30402176)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 敗血症 / グリコカリックス / 超微形態解析 / 血管内皮障害 / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
感染症や生活習慣病などの病態として、微小循環障害が注目されている。微小循環を維持する血管は内皮細胞により支持され、その内腔側表面をグリコカリックスと呼ばれる糖タンパクの複合体によって覆われ保護されている。血管内皮グリコカリックスは多彩な機能を有し微小循環の恒常性を保つが、その構造は脆弱で容易に傷害され、様々な疾患や病態に影響を与える可能性がある。我々は糖尿病患者が感染症で重篤化しやすいこと、糖尿病および敗血症のいずれも背景に微小循環障害を有することに着目、敗血症性血管炎による病態と血管内皮グリコカリックス傷害との関係について評価し、治療により転帰が改善するかに注目して検討している。血管内皮グリコカリックスの保護により重症化を予防できれば、患者予後および医療資源の節約といった観点から意義は大きい。 血管内皮グリコカリックスは血管内皮細胞で合成されるが、先行研究で2型糖尿病モデルマウスの血管内皮グリコカリックス合成能低下を確認している。血管内皮細胞は高血糖で機能が低下するため、糖尿病モデルマウスに対し血糖コントロール後、蛍光レクチンにて血管内皮グリコカリックスを描出し定量的に評価したところ、未治療群に対し治療群で改善がみられた。血糖コントロールに加え、ヘパラン硫酸類似物質を投与した群についても同様に改善が得られた。次に両者に対しLPS 15 mg/kgを腹腔内投与し生存率を評価したが、未治療群と比較し明らかな改善は得られなかった。一方、LPS投与6時間後の炎症性サイトカインのである血清Syndecan-1およびIL-1βについてELISA法で評価したところ改善が得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血管内皮グリコカリックスの保護について、予備実験では2型糖尿病モデルマウスで減弱していた血管内皮グリコカリックスの改善が得られた。また機能的にも炎症性サイトカインの抑制などに機能する可能性が示されており、基礎研究は順調に進展している。 臨床研究に関しては、糖尿病および腎代替療法に注目して検討を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
血糖コントロールおよびヘパラン硫酸類似物質の投与方法および期間、投与量などについてさらに条件を振って検討を行う。それに伴い炎症性サイトカインや炎症性細胞の遊走機能、生存率の改善に変化がみられるか、引き続き検討を行う。 臨床研究に関しては、引き続き糖尿病および腎代替療法に注目し、腎代替療法開始時等における循環動態の変化による影響も検討する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症および対応のため、糖尿病モデルマウスの使用および臨床研究における検体処理等が限定的であったため。次年度においては、これらの計画を さらに推進するとともに、解析のための機器を整備する予定である。
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