2021 Fiscal Year Research-status Report
Study on growth reduction of unruptured cerebral aneurysms from the point of view of hemodynamics
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20K09339
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Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization Kyoto Medical Center |
Principal Investigator |
福田 俊一 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 糖尿病研究部, 研究室長 (10600546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下權谷 祐児 日本大学, 工学部, 准教授 (30552575)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 脳動脈瘤 / 脳動脈瘤治療薬 / 壁ずり応力 / P2X4プリノセプター / パロキセチン / CFD解析 / コイル塞栓術 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) 未破裂脳動脈瘤に対するパロキセチンの増大抑制効果の検討 J-ASPECT Studyを利用した後ろ向き研究によるパロキセチン内服症例の検索を行い、当初から予定していた未破裂脳動脈瘤の増大抑制効果についての検討に加え、コイル塞栓術後再開通の抑制効果についての検討も行っている。パロキセチン内服症例72例と、コントロール症例710例が登録された。 このうち、コイル塞栓術後再発予防効果の検討を342症例について統計学的に行った。コイル塞栓術1年後の再開通率は、パロキセチン内服群は5.3% (2/38例)で、対照群の18.2% (57/314例)に比べて有意に低かった(p=0.023, カイ2乗検定)。さらに、データ欠落のない症例群で(38例 vs. 209例)、既知の再開通リスクである年齢、性別、喫煙歴、破裂、瘤最大径、頚部径4mm以上、後方循環を変数に加えて多変量解析を行なったところ、パロキセチン内服が有意な要因となった(p=0.015)。 2) CFD解析による脳動脈瘤増大に対する血行力学的予測因子の探索 ABO Studyのデータ解析が進行中である。CFD解析は、各症例について提供された脳血管3次元造影検査のDICOMデータから3次元画像を構築し、メッシュ形成を行なったのちにCFD解析ソフトで血管壁の各種血行力学因子の分布を計算し、最後に脳動脈瘤や周囲の脳血管の局所部位における血行力学的分布を計算し、全症例をまとめて多変量解析を行う。「増大症例と非増大症例の比較による血行力学的分布の検討」および「増大前後の比較による増大部の局所的な血行力学的分布の検討」は統計解析前の解析が90%終了し、R4年度前半に統計解析が完了する見込みである。中間解析では、複数の血行力学因子において有意な差を認めている。増大前後の比較による瘤周囲の血管形状の変化の検討は終了したが、有意差を認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19の影響で遅延していた後ろ向き研究のデータ収集がようやく完了し、遅れを取り戻すべく、得られたデータを用いてまずコイル塞栓術後再開通に対するパロキセチンの影響について多変量解析を行うことができた。 結果、データ欠損症例を除いた解析で、パロキセチン内服症例で有意に再開通率が低かった(p=0.015)。 この結果を今秋の脳神経外科学会総会で発表する予定である。 R.4年度に、パロキセチンの未破裂脳動脈瘤の増大に対する効果についても同様に解析を行うことで、当初の研究目標を完了できる見込みが立った。 CFD解析に関しても、すべての症例のCFD解析は完了直近であり、R4年度前半で統計解析を施行できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
コイル塞栓術に関しての解析は、データ欠損のある症例を除いて完了したので、症例提供施設に可能なな限り欠損データの提供をお願いしている。データが届き次第、解析を完了させたい。 今年度の前半は、未破裂脳動脈瘤についてのデータ解析とCFD解析の最終解析行う予定であり、後半に2つの論文投稿や学会発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
今年度もCOVID-19感染蔓延の影響で研究参加施設の症例登録およびデータ送付が遅延したため、次年度に予算を繰り越した。 最終年度である次年度に、最終解析費用や学会発表および論文報告のために予算を合わせて使用する予定である。
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