2020 Fiscal Year Research-status Report
エクソソームを利用した下垂体腺腫でのソマトスタチン受容体発現の評価システムの開発
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20K09357
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
大山 健一 帝京大学, 医学部, 准教授 (70350048)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
盛田 幸司 帝京大学, 医学部, 病院教授 (30535216)
川上 恭司郎 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (90589227)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ヒト胎児腎細胞 / ソマトスタチン受容体 / エクソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞から放出され体液中に存在するエクソソームは由来する細胞の特徴を反映していることから、様々な疾患で新たなタイプのバイオマーカーとして注目されている。本研究は、術後の免疫組織染色でしか知り得ないGH産生下垂体腺腫でのソマトスタチン受容体(SSTR)サプタイプの発現を、末梢血エクソソームの解析により測定するシステムを構築した後、 術前後の患者の血清で測定し、組織でのSSTRの発現レベルとの相関を検討することにより、エクソソームによるソマトスタチンアナログ(SSA)の薬効予測診断の実現に向けた基盤的な知見を得ることを目的としている。 初期研究として、ヒト胎児腎細胞(HEK細胞)にソマトスタチン受容体2型(SSTR2)プラスミドを導入し、24時間エクソソームフリーの条件下で培養。培養液の上清を採取し, 上清から超遠心法によりエクソソームを単離した後、エクソソームマーカーに対する抗体(CD9、CD63等)を用いてウエスタンブロットを行い、エクソソームの単離を確認した。さらに単離を確認したエクソソームにおけるSSTR2の発現の有無を検討した。この際、最適濃度等の情報も十分でないため、まずはややタンパク量多め、抗体濃度高めにて行なったところ、エクソソーム内にSSTR2の発現が確認された。このため引き続き同実験系にて至適タンパク量及び至適抗体濃度の検討を行なっている。今後は引き続き下垂体腺腫細胞株(ラットGH3細胞)での検討を開始する予定で、同様な手法により、ラットGH3細胞エクソソーム内でのSSTR2の発現に関して検討を行うことを予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究成果として①培養細胞液上清からのエクソソームの単離が可能であること、② SSTRの発現解析に有用な抗体があること、③SSTR2発現プラスミドが確かに機能していること、などが確認できた。上記事項は、現在の実験系が、今後の解析に有用であることを裏付ける結果である。引き続き同実験系にて至適タンパク量及び至適抗体濃度の検討を行なっているが、至適タンパク量及び至適抗体濃度が定まれば、今後予定する下垂体腺腫細胞株エクソソームにおけるSSTRサブタイプの発現解析にスムーズに着手することが可能となる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は引き続き下垂体腺腫細胞株(ラットGH3細胞)での検討を開始する予定である。ラットGH3細胞を24時間エクソソームフリーの条件下で培養。培養液の上清を採取し, 上清から超遠心法によりエクソソームを単離した後、エクソソームマーカーに対する抗体(CD9、CD63等)を用いてウエスタンブロットを行い、エクソソームの単離を確認。さらに単離を確認したラットGH3細胞エクソソームにおける単離したエクソソームについて、抗SSTR1~5抗体によるウエスタンブロットを行い、GH3細胞由来エクソソームでのSSTRサブタイプの発現パターンを確認する。単離したエクソソームについて、iTRAQ法によるプロテオーム解析を行い、GH3細胞で特異的に発現が増加しているタンパクの中で、細胞表面に発現しているタンパクを選抜することを予定する。
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Causes of Carryover |
COVID19パンデミックのため、研究分担者の所属する東京都健康長寿医療センター研究所へ出向して行う予定であった研究が中止となった。このため予算を繰り越し、当該研究は今年度に行う予定である。
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