2023 Fiscal Year Research-status Report
脳虚血および虚血耐性現象におけるミトコンドリア細胞間移動の意義の解明
Project/Area Number |
20K09386
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
吉岡 秀幸 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (20402076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木内 博之 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (30241623)
八木 貴 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (90345702)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 脳虚血耐性 / 虚血性神経細胞障害 / ミトコンドリア細胞間移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞の生と死の両面を司るミトコンドリアは、虚血性神経細胞障害において中心的な役割を担う。近年、このミトコンドリアが細胞間を移動し、ミトコンドリア機能や細胞間情報を伝達することが明らかとなってきているが、その役割は脳虚血病態では解明されていない。一方、虚血耐性は、軽微な虚血による preconditioningが引き続く致死的負荷に対する抵抗性を獲得する現象である。Preconditioning後に神経細胞やアストロサイトなどから放出される情報伝達物質 が、神経細胞の虚血耐性獲得へ寄与すると考えられているが、虚血耐性現象におけるミトコンドリア細胞間移動の役割は検討されていない。 前年度に引き続き、雄性C57Bl/6マウス一過性中大脳動脈閉塞による脳虚血耐性モデルの免疫染色サンプルでの検討を進めた。15分間虚血による preconditioningにより、60分間の致死的虚血への耐性が得られ、Shamモデル、preconditioning モデル、致死的虚血モデル、preconditioning+致死的虚血モデ ルの薄切サンプルを作成した。ミトコンドリアが細胞間移動する際に必要な、tunneling nanotube (TNT)と呼ばれる細胞間を連結するナノチューブをwheat germ agglutinin染色、ミトコンドリア細胞間移動に関与するMiro1を免疫染色により描出し、またミトコンドリアをMito tracker染色で検出して解析を行っている。 Preconditioning刺激によりMiro1の発現やTNTの出現が亢進している可能性が示唆されている。また、PC12 cell lineに対する無酸素無糖条件(OGD)を用い、in vitroでの 虚血耐性モデルの条件調節を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウスでの虚血耐性モデルサンプルを用い、現在ミトコンドリア細胞間移動を免疫組織化学的に解析している。Preconditioning刺激によりMiro1の発現やTNTの出現が亢進している可能性が示唆されている。また、PC12 cell lineに対する無酸素無糖条件(OGD)を用い、in vitroでの 虚血耐性モデルの条件調節を行っているが、In vitro虚血モデルが安定せず、生化学的な解析が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
In vivoマウス脳虚血モデルでは、引き続き、wheat germ agglutinin染色、Miro1免疫染色、Mito tracker染色によりミトコンドリア移動の観察を行う。In vitro モデルが確立されれば、培養液内細胞外放出ミトコンドリアの観察やミトコンドリア移動の阻害薬を用いた実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
In vitro虚血モデルの安定が遅れており、in vitro実験に使用する試薬を次年度に使用する必要が生じたため。In vitroの研究では、培養液内細胞外放出ミトコンドリアの観察をMito tracker染色で行う。また、細胞間ミトコンドリア移動に際し形成されるtunneling nanotube形成を阻害するcytochalasin Bの投与がミトコンドリア移動やOGD後の神経細胞障害および虚血耐性獲得に与える影響を検討する。
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