2021 Fiscal Year Research-status Report
部分再開通における脳梗塞進展の機序解明と治療法の開発
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20K09388
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
島村 宗尚 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (60422317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中神 啓徳 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (20325369)
林 宏樹 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座講師 (20813364)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 脳梗塞 / 部分再開通 / 血液脳関門 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、永久閉塞モデルと比較した病態の違いを検討した。まず、神経細胞死に対する部分再灌流の作用をFluoro-Jade C(FJC)染色およびTUNEL染色にて解析した。部分再灌流では、血流低下が激しい部位および脳梗塞周囲部で血流低下が軽度な部分のいずれでも正常脳梗塞境界域における梗塞中心部に近い領域での神経細胞死が遅延していることが明らかとなった。また、TUNEL染色では、血流低下が強い領域で脳梗塞中心部に近い部位および正常に近い部位のいずれにおいてもTUNEL陽性細胞数が増加しており、部分再灌流の急性期において特に血流低下が強い領域では、necrosisよりapoptosisが誘導されることが明らかとなった。さらに、脳梗塞部位での炎症性サイトカインのmRNA発現を比較したところ、Il6, Il1β, Mcp1は部分再開通3時間後より上昇し、24時間後にさらに高値となるが、TNFαは3時間目での発現がピークで24時間目にかけて低下することが明らかとなった。発現パターンに永久閉塞との差は認められなかったが、24時間後では、血流低下が強い部位におけるIl6およびIl1βの発現が、永久閉塞に比較して抑制されることが明らかとなった。また、inos(M1マーカ-)およびArg1(M2マーカー)については3時間後での発現上昇はなく、24時間後に発現の上昇が認められたが、永久閉塞と部分再灌流では発現に差が認められなかった。以上の結果から、部分再開流は、神経細胞死、アポトーシス、炎症性サイトカインの観点からは、永久閉塞とは異なる病態を惹起することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、病態解析の後、LGR4の解析まで行う予定であった。しかし、病態解析の際、血流低下がmildな周囲部を中心に解析を行っていたが、アポトーシスや炎症性サイトカインの発現において永久閉塞とは明らかな差がなかった。そのため、血流低下が強い中心部付近を再解析したために時間を要し、LGR4解析までに至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
R4年度は、LGR4の発現解析ならびに我々の開発した抗TLR炎症ペプチドMHP1での部分再灌流における治療効果を明らかにする。
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Causes of Carryover |
R3年度には病態の解析後にLGR4の発現解析を行う予定であったが、病態解析に時間がかかったため、解析が間に合わず、未使用額が生じた。このため、未使用額はその解析に充てることとしたい。
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