2020 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of glioma invasion mechanism based on inward rectifier potassium channels
Project/Area Number |
20K09400
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
吉村 晋一 関西医科大学, 医学部, 准教授 (60298891)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 美樹夫 関西医科大学, 医学部, 講師 (10368251)
岩田 亮一 関西医科大学, 医学部, 非常勤講師 (60580446)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | グリオーマ / がん幹細胞 / 浸潤 / イオンチャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性グリオーマの膠芽腫は国内患者数が2,200人、国外患者数が3.19/10万人の希少疾患である。膠芽腫における標準療法の放射線治療と上市品のテモゾロミドの併用で2年生存率は27%と低く、有効性は十分ではない。グリオーマの予後はここ数十年目立った生存期間の延長効果がある治療法が開発されておらず、根治療法の確立にはさらなる病態解明が必要である。最近、がんの再発や転移の原因として、がん幹細胞の存在が注目されている。グリオーマは強い浸潤能がある。そのため、腫瘍細胞は脳の正常部位に深く染み渡り、外科手術では摘出できない。さらに化学療法と放射線治療の集学的治療を行っても、治療抵抗性をもつがん幹細胞が増殖をくりかえす。再発の根源であるがん幹細胞をターゲットとした治療法は有効であると考えられるが、特異性の高いバイオマーカーや浸潤にかかわる原因遺伝子は不明のままである。我々は、手術で切除されたグリオーマから、がん幹細胞を樹立した。そして、パッチクランプ法を用いて、がん幹細胞に存在する膜タンパク質の機能を解析し、内向き整流Kチャネルを見いだした。以上の成果を踏まえて本研究は、内向き整流KチャネルをコードするKCNJについて、RNAシーケンス解析で、遺伝子発現量、融合遺伝子、スプライシングバリアント、および点変異を調べた。4患者由来のがん幹細胞株における、分子の発現量は、KCNJ10 (47 TPM) > KCNJ2 (13 TPM) = KCNJ5 (10 TPM) = KCNJ4 (9 TPM) > KCNJ8 (4 TPM) > KCNJ11 (1 TPM)の順位であった。さらに、3患者に共通して、KCNJ5において、アミノ酸置換の変異を1つ発見した。これらの遺伝子がコードするタンパク質は、グリオーマのバイオマーカーに応用できる可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グリオーマの浸潤に関わるKCNJ分子を明らかにした。KCNJ5において、アミノ酸置換の変異を見いだした。
|
Strategy for Future Research Activity |
WHO脳腫瘍分類による悪性度が異なるグリオーマの病理組織標本に免疫組織化学法を用いて、内向き整流Kチャネルタンパク質の発現量と分布を調べる。特に、リーディングエッジと浸潤部位における局在に注目し、腫瘍中心部における発現量と比較検討する。
|
Causes of Carryover |
予定よりも少ない試薬を用いて効率よく実験を遂行できたため、次年度使用額が生じた。消耗品費(免疫組織学用試薬)に充当する。
|
Research Products
(2 results)