2020 Fiscal Year Research-status Report
Notchシグナルによる関節幹細胞の維持機構の解明
Project/Area Number |
20K09452
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡田 慶太 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50759173)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
乾 洋 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60583119)
矢野 文子 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (80529040)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | Notchシグナル / Prg4 / 軟骨 |
Outline of Annual Research Achievements |
Notchシグナルは隣接細胞間のシグナル伝達様式の一つであり、変形性関節症の病態を促進的に制御することを我々は報告してきたが、逆説的な報告もあり全容は未だ不明である。近年関節軟骨の最表層 (Superficial zone; SFZ) 細胞は潤滑性を担うだけでなく、未分化な特性を有し、関節軟骨の前駆細胞としての役割があることが分かってきたが、我々は、Notchシグナルは深層の成熟した軟骨細胞では抑制されているがSFZ細胞では活性化しており、SFZ細胞の特性維持に不可欠であることを見出した。本研究では、NotchシグナルがSFZ細胞特異的に活性化し、その未分化性を維持するとともに潤滑な表面を保つのに貢献しているという仮説のもと、in vivoではSFZ特異的Creマウスを用いた機能解析を、in vitroではChIPシーケンスを用いたNotchシグナルの標的遺伝子の網羅的解析を行い、Notchシグナルによる関節軟骨の分化制御機構の全貌を解明し、関節疾患に対する新規治療薬・予防薬の開発に繋げる。 軟骨表層特異的にNotchシグナルをノックアウトするため、Prg4CreマウスとRbpjfloxマウスを交配させ、Prg4CreERT2;Rbpjfl/flを作成した。このマウスを使用し、外科的内側半月板不安定化モデルを作成し、変形性膝関節症への進行度を解析した。その結果、Notchシグナルをノックアウトした群において、変形性膝関節症が進行することが明らかとなった。in vitroでは、軟骨の組織培養を行い、Notchシグナルをノックアウトすることによる遺伝子発現の経時的変化を解析した。解析の結果、Notchシグナルをノックアウトすることで、軟骨分化が促進されることが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で使用したマウスは問題なく繁殖し、予定していた外科的内側半月板不安定化手術による結果も得られたため、順調に進行しているといえる。ただし、今後は外科的モデルだけでなく、Notchシグナルをノックアウトした細胞を経時的に追跡するcell tracking実験を予定しており、その準備を行っている。また、Notchシグナルを過剰発現させるマウスも購入し、現在gain of functionの実験系の確立も行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、Notchシグナルをノックアウトさせた細胞のtracking解析を追加するほか、Notchシグナル下流に発現する転写因子についても解析を進める。特に、下流で強く発現してるHes1、Hey1が、軟骨表層細胞の未分化性の維持に関与している可能性があり、Chipシークエンスによる網羅的な解析を予定している。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:順調に研究が進んでいるため、必要以上に経費をかけずに済んだ。 次年度使用計画:in vivoの解析など、次年度以降の経費のかさむ実験に使用する計画である。
|