2021 Fiscal Year Research-status Report
Notchシグナルによる関節幹細胞の維持機構の解明
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20K09452
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡田 慶太 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50759173)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
乾 洋 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60583119)
矢野 文子 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (80529040)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Notchシグナル / 変形性膝関節症 |
Outline of Annual Research Achievements |
Notchシグナルは隣接細胞間のシグナル伝達様式の一つであり、変形性関節症の病態を促進的に制御することを我々は報告してきたが、逆説的な報告もあり全容は未だ不明である。 我々は、関節軟骨でNotchが活性化されるとMmp13などの軟骨基質分解酵素が誘導され、変性が進んで変形性関節症が促進されることを解明してきたが、その後の研究において健常な関節軟骨のSFZではNotchが活性化しており、Notchを抑制するとSFZ細胞の特性が失われることを見出した。SFZには関節軟骨の前駆細胞が存在し、マウスにおいては数か月間をかけて深層の関節軟骨に分化していくことが近年報告された(Arthritis Rheumatol 67:1261,2015)。Notchシグナルは神経、造血、血管、体節の形成・分化に深く関わっており、各組織の未分化細胞を維持する作用が知られている。これらを総合的に考え、NotchシグナルはSFZ特異的に活性化され、SFZ細胞の未分化性を維持するのが本来の役割であり、誤って中間層や深層の軟骨細胞で活性化されてしまうと変形性関節症に繋がる、という新たな仮説を立て、本研究を立案した。この仮説に基づくとこれまでの全ての知見が矛盾なく繋がり、関節軟骨の営みが大局的に理解できる。またNotchシグナルのリガンド、受容体は細胞膜表面に存在することから化合物や抗体で干渉しやすく、また受容体の細胞内ドメインは直接核移行して転写を制御することから、狙った作用を確実に引き起こすことが可能である。本研究は、関節の本質を解き明かすものでありながら、疾患治療に繋がる可能性を大いに含んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Notchシグナルを軟骨表層特異的にノックアウトするPrg4-GFP-CreERT2;Ai14;Rbpjfl/flマウスは順調に繁殖され、経時的なcell tracking解析を行えている。
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Strategy for Future Research Activity |
Prg4-GFP-CreERT2;Ai14;Rbpjfl/flマウスから蛍光標識された細胞をcell sorterにより取り分け、経時的にRNAシークエンスを行う予定である。また、軟骨細胞株であるATDC5にHey1、Hes1などの転写因子を強制発現させ、ChIPシークエンスを行う方針である。
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Causes of Carryover |
順調に研究が進んでいるため、必要以上に経費をかけずに済んだ。 次年度の経費のかさむ実験に使用する計画である。
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