2021 Fiscal Year Research-status Report
滑膜下結合組織の線維化機構に着眼した透析患者における手根管症候群発症機序の解明
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20K09487
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
小沼 賢治 北里大学, 医学部, 講師 (80348557)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 健太郎 北里大学, 医学部, 講師 (50547578)
助川 浩士 北里大学, 医学部, 准教授 (60458809)
松本 俊英 北里大学, 医学部, 講師 (10623184)
佐藤 雅 北里大学, 医学部, 講師 (40611843)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 手根管症候群 / 滑膜下結合組織 / ミクログロブリン / コラーゲン / 線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の研究結果から、透析を受けている手根管症候群患者(HD-CTS)は透析を受けていないCTS患者に比べ滑膜下結合組織(SSCT)におけるCOL1A1,COL3A1の発現が高いことを報告してきた。本年度は、透析関連アミロイドーシス(DRA)の主線維とされるβ2ミクログロブリン(B2M)がSSCTに与える影響についても評価した。CTSに対して手根管開放術を施行した64名(透析群17名、非透析群47名)よりSSCTを採取した。COL1A1及びCOL3A1のmRNA発現をRT-PCR法を用いて評価した。また、非透析CTS患者6名より採取したSSCTをコラゲナーゼ処理し培養した細胞を、B2M(1, 10μM)で6及び24時間刺激した。回収した細胞より同様にmRNA発現を評価し、比較検討を行った。透析患者では非透析群に比較し、COL1A1およびCOL3A1が有意に上昇していた。また、細胞培養において、6時間では非刺激群に対して1μM及び10μM B2M 刺激で有意に高値であった。24時間においても非刺激群に対し10μM B2M刺激で有意に高値であった。過去の報告で、特発性CTSではSSCTのⅠおよびⅢ型コラーゲンのアップレギュレーションが報告されている。今回、透析患者では特発性CTS患者と比較しCOL1A1及びCOL3A1の発現が高値であった。これは透析患者においてもCTSの発症にCOL1A1及び3A1が関与している可能性を示唆した。また、B2MはDRAにおけるアミロイド線維の主成分とされ、CTSの透析患者滑膜標本でも沈着が確認されている。本研究ではSSCT細胞をB2Mで刺激することでCOL3A発現が上昇しており、これはDRAにおけるCTS発症のメカニズムに寄与する可能性を示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
透析患者の滑膜下結合組織における線維化機構の一端を明らかにしており、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
病理学的検討による滑膜下結合組織におけるアミロイド沈着の検討やアミロイドによるコラーゲン発現誘導経路を検討する予定である。
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