2020 Fiscal Year Research-status Report
New insights on Clinical potential of IgM antibodies in transplantation
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20K09525
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
松田 佳子 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, RI管理室, リサーチアソシエイト (90790303)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | IgM抗体 / B-1細胞 / B-2細胞 / ドナーHLA抗原 / IgMメモリ-B細胞 / IgM DSA |
Outline of Annual Research Achievements |
臓器移植分野において移植長期予後の改善のために抗体関連型拒絶反応(ABMR)の制御が課題となっている。ABMR発症後は病態が不可逆的に進行することと、従来の免疫抑制療法では治療が困難であることから発症の早期診断法あるいは予測法の確立が待たれている。我々はIgM抗体が抗原感作後最も早期に産生されることから早期治療介入を可能とする早期診断法としての可能性に着目した。実際の臨床検体を利用してドナーHLA抗原特異的IgMメモリ-B細胞のABMR発症の早期バイオマーカ-としての役割を明らかにし、IgGメモリ-B細胞と比較し、低侵襲な免疫抑制療法に感受性を有することを明らかにした。さらに確立されたin vitroアッセイ系の培養上清を利用することで自然抗体の関与を除外し、B-2細胞由来のドナーHLA抗原特異的IgMメモリ-B細胞の分化を検知可能であることも判明した。また血清と移植後de novo DSA陽性症例の病理結果を比較検討した結果、血清中からB-2 細胞由来IgM-DSA検出症例においてはドナーHLA抗原に対する液性免疫反応が抑制されている可能性が示唆された。よってB-2細胞由来のIgM DSAも自然抗体同様、移植臓器を液性免疫反応からの保護に働く可能性が示唆された。よって従来は血清中からのIgG-DSA産生を標的とした免疫抑制療法が行われてきたがドナ-HLA抗原特異的IgMメモリ-B細胞のクラススイッチを抑制し、IgM形質細胞への分化誘導を目的とした免疫抑制療法の導入がABMRの病態進展に有効である可能性が期待された。よってB-2細胞由来のIgM抗体の役割を明らかにすることでより効果的な、新たなABMR制御法の発展につながる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メモリ-B細胞を抗体産生細胞まで分化誘導可能なin vitroアッセイ系を確立し,培養清中を利用することで自然抗体の影響を除外した上でB-2細胞由来メモリ-B細胞の抗原特異性、アイソタイプが評価可能となった。このin vitroアッセイ系を利用し、培養上清、血清中抗体とde novo DSA陽性症例における病理結果を比較検討することでB-2細胞由来IgMメモリ-B細胞のIgGへのクラススイッチ抑制とIgM形質細胞への分化を誘導可能な免疫抑制療法の導入がABMR発症に重要な役割を果たす可能性を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
移植後免疫抑制療法の確立により、de novo DSA症例数あるいは抗体関連型拒絶反応 (ABMR) 症例は限られている。よって患者背景、免疫抑制療法などの可能性を除外した上でB-2 細胞由来のIgM抗体のABMR発症への役割を明らかにするにはさらに多くの症例での検討が必要と考えられる。よってIn vitroにおいて液性免疫反応賦活化による組織傷害モデルを確立し、原因となる可溶性因子特異的なIgM抗体を培養条件に添加するなどしてB-2細胞由来IgM抗体の病態への関与方法などを検討したいと考えている。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により、研究所への通所が制限されてしまい、予定通り研究をすすめることができなかった。一方で研究計画の練り直しなどには時間をかけることができたため、予定に従い研究をすすめる予定である。
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