2020 Fiscal Year Research-status Report
スキャフォールドフリーの3次元構造体による機能を有する人工尿管の作成
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20K09541
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
高木 克典 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (90635856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
望月 保志 長崎大学, 病院(医学系), 准教授 (40404256)
中山 功一 佐賀大学, 医学部, 教授 (50420609)
江口 正倫 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (70585405)
永安 武 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80284686)
松本 桂太郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (80404268)
町野 隆介 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (90728081)
谷口 大輔 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (20773758)
山根 裕介 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (90457549)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 尿管 / 蠕動運動 / 再生医療 / バイオ3Dプリンター / スフェロイド |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究から、人工尿管作成は、NHDF、HUVECを混合したスフェロイドが最適と考えられ、同組成でバイオ3Dプリンターレジェノバを用いて壁厚500-600μm、内腔600μm、長径5mm人工尿管を作成した。移植に適した強度が得られるまでの30-60日間、リザーバー内で循環培養し、ラット尿管へ間置し、顕微鏡下に吻合した。長期培養の結果、移植時の人工尿管は長径約2mmとなっていた。移植後毎日、タクロリムスで免疫抑制を施し、今回、8週まで観察期間を延長し、移植構造体の経時的変化、蠕動運動の程度、病理学的検索を行った。 これまでの研究結果では、移植時のサイズより大きい瘤状の形態を示したものが50%、移植時のサイズ以下へ縮小していたものは50%であった。本結果の解析で、移植時のサイズ以下に縮小していたものは、尿の通過性が良く、水腎症を来していないか、軽度の水腎症にとどまるものがほとんどであった。移植時、瘤を形成していたものは50%で、病理学的検索から、吻合部からの尿の流出や構造体の破綻、異物反応、感染が考えられた。以上から、移植構造体サイズの縮小が、尿管構造体として機能している証拠であることが判明した。 尿の流出や構造体の破綻は、構造体の強度不足が主たる原因であると考えられたため、強度不足を補うため、今回は、移植時に組織接着用血漿分画製剤(ボルヒール)を構造体と吻合部周囲に散布した。その結果、移植症例9例中、6例(66%)の移植構造体で移植時のサイズより縮小し、尿管構造体として機能していることが判明した。これまでの移植実験の成功率を約15%改善する結果であった。病理組織学的検討では、移植尿管内に尿管上皮の再生がみられたが、人工尿管の蠕動は、前回同様ほぼすべての症例で、健常側尿管よりも弱かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備実験結果をもとに、補強素材(組織接着用血漿分画製剤)を工夫することで、より良好な結果を得ることができた。また、従来よりさらに長期間の検討をすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
免疫染色もくわえることで、さらに詳細な移植構造体の病理組織学的検討をすすめる。ラット自身の細胞を用いることで、さらに機能性を高めた人工尿管を作成する。ラットとヒトの細胞の振る舞いは異なるため、人工尿管に最適なラット細胞の種類、組成(構成比)を検討する。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染症のパンデミックで、想定していた学会参加を見送り、旅費の使用がなかったこと。使用する細胞株を以前より当科で保存していた細胞株で行い、新たに購入する必要がなかったこと。使用動物も自己繁殖で生まれた個体を使用したこと。 さらに親和性、機能性に富んだ細胞株を数種類購入する計画をしており、同細胞株購入に使用、また、消耗品手術器具購入に充てるほか、ラット細胞を多種多量に採取するため、ラット購入にかかる費用、また、免疫反応を抑制するため、ヌードラットの購入も想定しており、同購入費用に充てる。
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