2021 Fiscal Year Research-status Report
スキャフォールドフリーの3次元構造体による機能を有する人工尿管の作成
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20K09541
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
高木 克典 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (90635856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
望月 保志 長崎大学, 病院(医学系), 准教授 (40404256)
中山 功一 佐賀大学, 医学部, 教授 (50420609)
江口 正倫 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (70585405)
永安 武 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80284686)
松本 桂太郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (80404268)
町野 隆介 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (90728081)
谷口 大輔 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (20773758)
山根 裕介 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (90457549)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 尿管 / インドシアニングリーン / ラベリング / リンパ管 / スフェロイド / 3Dバイオプリンティング |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究でバイオ3Dプリンターレジェノバを用いて人工尿管を作成し、ラット尿管へ移植し、その機能解明と病理組織学的検索を行ってきた。移植時に組織接着用血漿分画製剤(ボルヒール)を構造体と吻合部周囲に散布することで、人工尿管の破綻、水腎症の発生が抑えられ、蠕動能は、正常尿管より弱いものの、機能する人工尿管が実現できた。 本年度前半では免疫染色を追加することで、人工尿管内腔の再生上皮は尿管上皮であることを証明し、また移植後12週までの観察では、完全再生は見られなかったが、人工尿管と上皮の間にラット尿管筋層の再生を確認することができた。しかし、機能解明の点で一つの問題が生じた。下記にその問題点を示す。 尿管は、後腹膜を走行しており、人工尿管移植時には後腹膜に埋没するように配置する。当然、術後は周囲結合織と癒着し、同化する。蠕動等の機能観察時には人工尿管自体が細径であることも影響し、移植部位の厳密な特定が不能で、周囲結合織を剥離することが不可欠である。周囲結合織を剥離すると、尿管は攣縮し、蠕動能が弱くなり、剥離前、後腹膜を透見して確認できていた蠕動よりもかなり弱い蠕動しか観察できないことが分かった。そこで我々は、後腹膜を剥離しない状態で、人工尿管を特定し、蠕動能を確認できる方法がないか検討した。人体にも応用されている、インドシアニングリーン(ICG)を線維芽細胞培地に混入し、細胞培養を施行した。ICG濃度25μg以上で、培養細胞のviabilityが低下することが判明したため、12.5μg/mlの濃度で培養した細胞を用いて、管状構造体を作成した。その構造体をラット皮下に植え、赤外線観察装置で経時的に追跡した結果、人工構造体を非接触で、4週以上経時的観察可能であった。本技術を応用し、人工尿管を作成すれば、後腹膜を剥離せずに、人工尿管を観察でき、蠕動能を確認できると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
厳密な機能観察のための観察方法の確立のため、当初の計画のラット細胞での尿管作成には至っていない。しかし、移植構造体の新たな、経時的追跡の手法を確立することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
インドシアニングリーンでラベリングした細胞で管状構造体を作成しラット尿管に移植し、蠕動能を後腹膜上から非接触で観察する。ビデオ撮影し、移動距離、頻度を正常尿管と比較し、蠕動能の再現性を厳密に比較する。 また、尿管自体をラット細胞で作成し、移植することで、免疫拒絶を抑制した環境での上皮の再生、筋層の再生を評価する。ヒト細胞で作成した構造体よりも親和性の高いことが予想され、さらに機能再生に寄与すると予想される。
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Causes of Carryover |
本年度は、安価な既存の細胞株と培地で行った。また、免疫染色に関しても新たな抗体購入なく施行でき、現状の使用額となっている。また、COVID19パンデミックにより、学会発表がオンラインとなり、旅費も使用しなかった。次年度は新たな細胞株や抗体を購入しなければならず、全額使用予定である。
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