ガス状シグナル物質の複合的投与による移植腎保護効果と機序の解明をはかる前臨床実験

2023 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 20K09542
• Research Institution: Kagoshima University
• Principal Investigator: 有吉 勇一 鹿児島大学, 先端科学研究推進センター, 学外協力研究者 (10643520)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 佐原 寿史 鹿児島大学, 総合科学域共同学系, 准教授 (90452333) ; 関島 光裕 鹿児島大学, 先端科学研究推進センター, 協力研究者 (20568589) ; 岩永 健裕 東京医科歯科大学, 統合研究機構, 助教 (40518916) [Withdrawn]
• Project Period (FY): 2020-04-01 – 2024-03-31
• Keywords: 移植・再生医療 / 虚血再灌流障害 / 腎移植 / ミニブタ / 一酸化炭素 / 硫化水素 / 心停止ドナー / 前臨床実験

Outline of Annual Research Achievements

本研究では、臨床医療に即した心停止ドナーからの臓器移植を想定した前臨床ミニブタ腎移植実験モデルを活用し、ドナー臓器保存時にガス状シグナル物質である一酸化炭素と硫化水素を複合的に投与することで、有効かつ安全な治療方法の確立を目指す。この研究は、虚血再灌流障害（Ischemia-reperfusion injury: IRI）に代表される急性障害の制御だけでなく、臓器の生着期間を延長し、その作用機序を解明することを目的とする。一酸化炭素と硫化水素の相互作用が効果を補完するが、投与部位や環境による複雑なクロストークが作用減少をもたらす可能性もあるため、どのような投与方法が最も効果的かについて、大動物を用いた前臨床移植実験を通じて明らかにする。
令和5年度は、一酸化炭素ガスの治療効果を最大化する効果的な投与方法を特定するため、特に大動物を用いた実験系に関する文献を整理し、詳細な評価を実施した。さらに、これまでに我々が行った一酸化炭素や硫化水素を使用したミニブタの移植実験における効果的な投与方法についても深掘りし、国際的な医療ガス利用の現状と課題を理解した上で、これらを自験例と対比し、一酸化炭素や硫化水素といった医療ガスが腎臓移植を含む医療分野での臨床応用に至る可能性を探った。このプロセスを通じて、臨床応用への道をさらに探求し、新たな治療法の開発に向けた基礎データを蓄積し、臨床応用の方向性をさらに探求し、その結果を評価した。現在これらの結果を国際学術誌に原著報告および総説への投稿準備を進めている。