2021 Fiscal Year Research-status Report
新規流体チップディバイスによる尿路生殖器癌の循環腫瘍細胞捕捉に関する研究
Project/Area Number |
20K09588
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
近藤 幸尋 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (80215467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 剛 日本医科大学, 医学部, 准教授 (20234354)
大林 康太郎 日本医科大学, 医学部, 助教 (30857579)
鈴木 康友 日本医科大学, 医学部, 准教授 (90297911)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腫瘍マーカー / 循環腫瘍細胞 / 流体チップデバイス / 前立腺癌 / 腎細胞癌 / 尿路上皮癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
泌尿器腫瘍は前立腺癌のような腫瘍マーカー(PSA)が確立されたものから、腎細胞癌や尿路上皮癌のように腫瘍マーカーが存在しないものまで存在する。また前立腺癌も去勢抵抗性の前立腺癌においては、PSAも腫瘍マーカーとしては機能しない。本研究は新規流体チップデバイスを用いて循環腫瘍細胞を捕捉し、その細胞を解析することにより治療効果判定の腫瘍マーカーを確立することにある。 マーカー確立のためには、新規流体チップデバイスと抗体の組み合わせで循環腫瘍細胞を捕捉する必要があり、これらをまず培養腫瘍細胞で検討する。前立腺癌にはじまり腎細胞癌、尿路上皮癌、精巣癌でも検討する。まずはEpCAM抗体を用いて検討を始めるが、捕捉率が低い場合にはビメンチンなど各種の抗体を用いて捕捉を試みる。 捕捉した条件を用いて臨床サンプルでも決定する。その上で捕捉細胞を用いてシングルセル解析を行い、腫瘍マーカー確立を目指すものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規流体チップディバイスによる尿路生殖器癌の循環腫瘍細胞捕捉に関する研究を始めるにあたって、既に前立腺癌細胞で行ってきた細胞株を用いた研究をコントロール群とした。まず前立腺癌株における細胞株のちがいによる、EpCAMの捕捉抗体をコーティングしたチップの捕捉率を検討した。使用した4株において捕捉率に大きな差が生じたため、最も捕捉率の高かったDU145株をコントロールとしてまず尿路上皮癌や腎細胞癌、精巣癌の細胞株を用いて捕捉効率を検討した。 尿路上皮癌細胞においては、新規流体チップディバイスの捕捉効果は少なかった。また腎細胞癌細胞においては、細胞により異なる捕捉性を示した。加えて精巣癌細胞に関しても捕捉率を検討したが、ほとんど捕捉される細胞はなかった。そこで用いる捕捉抗体をビメンチンに抗体を変えることにより尿路上皮癌および精巣癌における捕捉率を検討したが、今回用いた抗体はすべて機能しなかった。 また臨床のマーカーとなるべく進行前立腺癌の血液を採取し、臨床検体中の循環腫瘍細胞の捕捉率を検討した。EpCAMの捕捉抗体をコーティングしたチップを用いると、前立腺の進行癌であれば5ccの採血で循環腫瘍細胞が捕捉できることがわかった。現在捕捉した腫瘍細胞をシングルセル化してその細胞の解析を試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在EpCAMの捕捉抗体をコーティングしたチップを用いると前立腺癌においては臨床検体でも十分に捕捉可能であり、このシステムでは従来の循環腫瘍細胞捕捉機器より少量の血液で解析可能となる。しかしながらこの方法では、臨床的に行なわれているPSA検査のように数をこなすことができない。そこで官民一体型の研究によりEpCAMの捕捉抗体をコーティングしたチップを前立腺癌用としてキット化する方向で検討する。 また多種類の癌においても、恒常的に循環腫瘍細胞捕捉可能とならないと臨床での検査に耐えられないため、腫瘍細胞の膜を解析し適切な抗体を各腫瘍で同定しそれを用いた捕捉抗体をコーティングしたチップのキット化に取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
基礎実験で尿路上皮癌において、各種抗体を用いた循環腫瘍細胞の捕捉が可能でなかったため、尿路上皮癌に関しての検討が、臨床検体の検討などに広がらなかったため使用額が減少したため、余剰が生じた。
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Research Products
(3 results)