2020 Fiscal Year Research-status Report
卵管分泌因子機能不全による新規不育症モデル動物の胚・雌性生殖管超微細構造の分析
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20K09608
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
大和屋 健二 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (80447309)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 慶彦 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 先任准教授 (70250933)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 卵管 / OVGP1 / ハムスター |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はハムスターにおけるOVGP1の有無が卵管上皮と卵子に与える影響の超微形態解析を行った。マウスでは透明帯裸化卵において微絨毛が伸びることや、エキソソームマーカーであるCD9のKO卵において微絨毛が短小化するように、分泌因子の有無によって微絨毛の長さが変化する。このことに着想を得て、ハムスターの卵管上皮においても分泌因子であるOVGP1の欠損が線毛や微絨毛の状態に変化を及ぼすのかを調べた。その結果、線毛、微絨毛ともに野生型とOVGP1欠損間で長さに著しい差を認めなかった。OVGP1は卵子を囲む透明帯に多く結合する事がこれまで明らかとなっているが、卵管卵の解析から、OVGP1欠損雌から採取した卵管卵の透明帯が野生型と比較し薄いことを確認した。また、OVGP1欠損雌由来の受精卵で、交尾後1日に満たない雌雄前核が融合する前の段階で既にミトコンドリアが中央に集積する異常が明らかとなった。早い段階の着床前胚で形態的異常が認められたが、その後、着床に至るかを交尾後5.5日の子宮で調べた。その結果、着床数の低下は認められるものの着床痕を確認した。しかし、交尾後8.5日の子宮を採取した結果、着床の形跡は認められるものの、胚は認められなかった。このことは、OVGP1は早い段階から卵に作用し初期胚発生を円滑に進める機能を有し、OVGP1の欠損は着床前後の初期発生不全をもたらすことを示す。そしてハムスターにおいて OVGP1の欠損は雌性不妊をもたらすが、マウスでは不妊とならないことから、OVGP1には胚の養育あるいは保護といった、ある種のストレスを軽減する機能があると推測される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、卵管および卵子の形態観察を行うことができた。その結果、上皮の線毛や微絨毛に異常は認められず、受精卵において透明帯や細胞質の異常を明らかに出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
受精直後の胚の異常と着床数の低下を認めたことから、当初の予定通り、着床前胚の質の解析とOVGP1の挙動を追う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により旅費、謝金等を使用しなかったこと、動物の削減に努めたことにより次年度使用額が生じた。研究は順調に進んでおり、関連分子に対する抗体の作製など新たな使用目的が生じており、主に物品費として使用する計画である。
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Research Products
(5 results)