2022 Fiscal Year Research-status Report
子宮頸癌前癌病変におけるYAP1活性化と内分泌環境因子との関連について
Project/Area Number |
20K09621
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
田代 浩徳 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (70304996)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片渕 秀隆 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 名誉教授 (90224451)
齋藤 文誉 熊本大学, 病院, 助教 (20555742)
山口 宗影 熊本大学, 病院, 講師 (20626535)
本原 剛志 熊本大学, 病院, 講師 (10457591)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 子宮頸癌前癌状態 / 高度扁平上皮内病変(HSIL) / ヒトパピローマウイルス(HPV / 内分泌環境 / HIPPO経路 / YAP1 |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮頸癌(頸癌)の前癌病変は急増し、前癌病変から浸潤癌への移行は1~3割程度とされるものの、若年女性を中心に唯一の外科的治療である子宮頸部円錐切除術(円切)の施行症例が急峻に増加している。円切は月経障害の他、流産や早産による周産期死亡に関連し、問題となっている。頸癌前癌病変は、経口避妊薬服用が危険因子となるのか、また、妊娠期の前癌病変が分娩後に退縮、消失する要因が免疫もしくは内分泌環境の変化によるものか、未だ議論が多く詳細な機序は 不明である。近年、頸癌とHippo経路下流にあるYAP1の活性化との関連が注目されている。われわれは、神戸大学との共同研究により、マウス子宮のHippo経路にあるMOB1a/bをノックアウトし、YAP1を活性化することで、極めて早期に、子宮頸癌前癌病変である高度扁平上皮内病変 HSILをきたすことを見出した。また、cell lineを用いた研究により、ヒトパピローマウイルスHPV E6/E7 はYAP1を活性化するが、このE6/E7以外にもエストロゲンによってもYAP1を活性化することを明らかにした。ヒトの子宮頸部前癌病変(軽度ならびに高度扁平上皮内病変)において、YAP1の活性化が高まることを示した。これらの成果は、cancer scienceに発表した。今後、臨床検体を用い、前癌病変CIN1からCIN3ならびに初期癌病変の各段階におけるYAP1活性化と内分泌環境による影響を受けるかどうかを評価する。閉経前症例の生検、円切標本ならびに子宮摘出標本を用いて、前癌病変とYAP1発現の関連、月経周期による病変の変化を調べ、前癌病変を有する妊娠合併症例においては、妊娠中と分娩後の病変の変化を同様にして解析を行う。これらにより、内分泌学的変化とYAP1を介した前癌病変の消退、持続、進展との関連性を明らかにする。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
神戸大学との共同研究により、子宮を標的としたHippo経路にあるMOB1a/bをノックアウトしYAP1を活性化することで極めて早期よりHSILをきたすモデルマウスを作製し、in vivoの解析を行った。Cell lineを用いて、エストロゲンの添加によりYAP1が活性化することを明らかにした。昨年までの新型コロナ感染の影響で症例数の蓄積が遅れており、現在、関連病院の協力を依頼、該当症例数の蓄積を行っている。倫理審査委員会承認のもとに、診断が確定したブロックを用いたYAP1等の免疫組織学的解析を遂行する。
|
Strategy for Future Research Activity |
症例の集積を進めており、臨床検体の前癌病変CIN1からCIN3ならびに初期癌病変の各段階におけるYAP1活性化と内分泌環境による影響を受けるかどうかを評価する。閉経前症例の生検、円切標本ならびに子宮摘出標本を用いて、前癌病変とYAP1発現の関連、月経周期による病変の変化を調べ、前癌病変を有する妊娠合併症例においては、妊娠中と分娩後の病変の変化を同様にして解析を行う。これらにより、内分泌学的変化とYAP1を介した前癌病変の消退、持続、進展との関連性を明らかにする。
|
Causes of Carryover |
昨年までのコロナ渦で進捗が遅れており、現在、臨床検体の集積を進めており、次年度は当初予定していた免疫組織学手解析を中心に、閉経前症例の生検、円切標本ならびに子宮摘出標本を用いて、前癌病変とYAP1発現の関連、月経周期による病変の変化を調べ、前癌病変を有する妊娠合併症例においては、妊娠中と分娩後の病変の変化を同様にして解析を行う。これらの解析結果をもとに、前癌病変CIN1からCIN3ならびに初期癌病変の各段階におけるYAP1活性化と内分泌環境による影響を受けるかどうかを評価し、内分泌学的変化とYAP1を介した前癌病変の消退、持続、進展との関連性について、次年度中にまとめ、報告を行う。
|
Research Products
(5 results)