2022 Fiscal Year Annual Research Report
嗅神経上皮の傷害・再生過程における起炎性・抗炎症性メディエーターの関与の解析
Project/Area Number |
20K09749
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
近藤 健二 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (40334370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊田 周 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (00555865)
有田 誠 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, チームリーダー (80292952)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 嗅神経上皮 / 再生 / 炎症性メディエーター / 脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
【1】上気道ウィルス感染モデルマウスの嗅覚組織の病態解析 【目的】2本鎖RNAであるpoly(i:c)の経鼻投与を用いた鼻腔のウィルス感染モデルマウスを用いて、嗅粘膜および嗅球の病態生理を解析した。【対象と方法】Balb/cマウスの鼻腔にpoly(i:c) を3日間連続投与し、投与後経時的に動物を固定、鼻腔の冠状断組織切片を作成した。切片に抗OMP染色、抗Iba-1染色による染色を行って陽性細胞数のカウントを行った。また採取した組織からRNAおよび蛋白を抽出して、炎症性サイトカインの発現を定量PCRおよびELISAで測定した。【結果】Poly(I:C)点鼻マウスでは嗅粘膜に加えて嗅球の炎症性サイトカイン増加が認められた。また嗅球においてマクロファージ、ミクログリアの活性化が見られた。 【2】新型コロナウィルス感染による嗅粘膜および嗅覚神経伝導路の病態生理の解析 【目的】新型コロナウィルス感染による嗅覚障害の背景にある分子メカニズムを検討するため、動物モデルを用いて嗅覚機能および嗅粘膜、嗅覚伝導路の組織解析を行った。【対象と方法】ハムスターにSARS-Cov-2ウィルスを経鼻感染させた。感染後経時的に(感染後3日~42日)嗅覚評価のためのfood finding testを行い、また鼻腔組織と中枢神経組織を採取し、組織学的に解析を行った。【結果】food finding testでは感染惹起後に餌の探索時間が有意に延長し、嗅覚障害が示唆された。組織による嗅神経上皮の解析では、感染後42日経過後も嗅粘膜のZone1における嗅神経細胞数は対照群と比較して有意に減少していた。また同部位の粘膜固有層のマクロファージ浸潤は感染直後から42日まで持続して増加していた。嗅球において、アストロサイト及びミクログリアの数が感染後に有意に増加していた。
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Research Products
(18 results)