2021 Fiscal Year Research-status Report
遺伝解析の統計的検出力を高めるための緑内障臨床情報クラスタリング手法の開発
Project/Area Number |
20K09779
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
森 和彦 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員教授 (40252001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田代 啓 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10263097)
中野 正和 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70381944)
池田 陽子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員講師 (00433243)
上野 盛夫 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40426531)
佐藤 隆一 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30717533) [Withdrawn]
吉井 健悟 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90388471)
今井 浩二郎 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70728443)
外園 千恵 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30216585)
木下 茂 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30116024)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 緑内障 / 眼遺伝学 / 視野進行 / クラスター解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
緑内障は本邦における中途失明原因第1位の眼疾患であり、慢性的に進行し失明に至る。近年、ゲノムワイド関連解析により数多くの関連遺伝領域が報告され、申請者らも視神経脆弱性に関連する正常眼圧緑内障の有意なバリアントを報告した。従来の報告はいずれも疾病発症に関する解析であり、重症化を含めた表現型の違いに対する遺伝的リスク要因を検討した報告は少ない。本研究では、機械学習により緑内障臨床情報を類型化するソフトウェアを開発、既知ゲノム情報とリンクさせたクラスター解析に加えて、PRSの手法を取り入れた遺伝解析を行うことで、遺伝解析の統計的検出力を高め、広義原発開放隅角緑内障発症ならびに重症化における遺伝的要因と環境的要因の関与を明らかにするとともに、汎用的な臨床情報のクラスター解析法の確立を目指している。具体的手法として広義原発開放隅角緑内障の進行リスクの判定方法を検討した。1つ目は治療開始日からハンフリー自動視野のGlaucoma Progression Analysis(GPA)による「進行の可能性」出力をイベントとする生存曲線解析である。2つ目はAulhorn分類Greve変法のステージが初回ステージより2回連続して進行した場合に初めて進行した時点をイベントとする方法である。最後の方法は、臨床的に必要と判断された緑内障手術施行時点をイベントとする解析である。これらの3つの手法を単独もしくは組合せにより、それぞれの手法別に進行群と非進行群に対して複数のSNPを用いたPRS手法を応用したゲノム解析を行なった。並行して臨床情報の収集を行なっているが、現状で38万件を超えるデータ数となっており、ファイルメーカーを用いたデータベースの維持・管理を行うにあたって多くの問題点が生じてきたため、データベースを構築するバックボーンの見直しを検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
過去の研究において検討した緑内障重症化判定法をクラスタリングのためのモデルとして利用し、新たに蓄積された臨床データの抽出、クリーニングを行った後、視野進行速度(HFA、MD slope)、HFA検査のAulhorn分類Greve変法病期、GP検査の湖崎分類病期、HFA緑内障進行判定プログラム(GPA)による検討を組合せ、非階層クラスター分析により対象の群分けを行った。分離するクラスター数は統計処理に合わせて調整し、もっとも分離効率の良い方法を検討した。polygenic risk score (PRS)の有用性が報告を受け、この手法を取り入れた解析を進めているが、組み合わせるべき使用SNPの数の検討にあたって30, 60, 90個で検討を行い、GPA進行SNPを用いて手術例の道検体を判別を行なったが、判別効率は不十分な程度に留まっている。 なお新規検体を収集するとともに、臨床情報のクラスタリング対象として、緑内障発症・進行の危険因子に関する検討のための臨床情報を収集、データクリーニングを行い、再現性実験の解析に備えているが、現状で38万件を超えるデータ数となっており、ファイルメーカーを用いたデータベースの維持・管理を行うにあたって多くの問題点が生じてきている。データ収集はこれからも継続する必要があるため、データベースを構築するバックボーンの見直しを検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画していたケースコントロール相関解析のpolygenic risk score (PRS)の手法での使用SNP数の検討を詳細に行い、より判別効率の高い新たな解析手法と本研究の当初の予定である臨床情報クラスタリング手法を統合してゆく。 これらの研究を進めることと並行して、臨床情報の収集を行なっているが、現状で38万件を超えるデータ数となっており、ファイルメーカーを用いたデータベースの維持・管理を行うにあたって多くの問題点が生じてきている。データ収集はこれからも継続する必要があるため、データベースを構築するバックボーンの見直しを開始している。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の蔓延により当初参加を予定していた学会が延期もしくはweb開催となったため、旅費が不要となった。また研究計画の見直しにより実施計画が少し遅延しており、ファイルメーカーを用いたデータベースの維持・管理を行うにあたって多くの問題点が生じてきており、データベースを構築するバックボーンの見直しを検討しているため、本来使用を予定していた物品費ならびに人件費を次年度以降に持ち越すこととなった。
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