2023 Fiscal Year Annual Research Report
Identification of biomarkers for HTLV-1 associated ocular disease through a multifaceted approach
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20K09824
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
鴨居 功樹 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (40451942)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | HTLV-1 / HTLV-1 ぶどう膜炎 / 続発緑内障 / ROCK阻害薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
Human T-cell leukemia virus type 1 (HTLV-1)は、世界に約3000万人、日本に約100万人の感染者が存在するウイルスである。眼においてはHTLV-1ぶどう膜炎やATL関連眼病変を発症させる。しかし、その発症機構の詳細は未だ解明されていない。本研究では、イメージングバイオマーカーと分子バイオマーカーの観点から、HTLV-1関連眼疾患の発症機構を多角的に検討し、今年度はHTLV-1ぶどう膜炎に最も多く生じる続発緑内障に関する検討を行った。 これまでに、我々は、HTLV-1ぶどう膜炎の続発緑内障の発症機序として、病態に関わる線維柱帯細胞が眼内に浸潤したHTLV-1細胞に接触することで感染し、形態変化、サイトカインによる局所炎症、ケモカインによる浸潤細胞の誘導が房水流出障害を引き起こすことを示した。一方、HTLV-1ぶどう膜炎の続発性緑内障に対する適切な薬剤は明らかではなかった。そこで我々は、Rhoキナーゼ(ROCK)阻害剤に着目し、治療薬としての有効性をin vitroで検討した。 眼細胞である線維柱帯細胞とHTLV-1感染細胞を用いて実験系を構築し、ROCK阻害薬(リバスジル)の効果を評価した。その結果、ROCK阻害薬はHTLV-1に感染した線維柱帯細胞においてプロウイルスロードに影響を与えず、F-actinとfibronectinを減少させ、形態の改善に寄与することが示された。また、ROCK阻害薬は炎症性サイトカインやケモカインを抑制することが明らかとなった。これらの結果から、ROCK阻害薬はHTLV-1ぶどう膜炎の続発緑内障における房水流出障害を改善する効果があると考えられる。HTLV-1ぶどう膜炎は高頻度に続発緑内障が生じるため、その病態に即した治療薬が求められており、ROCK阻害薬は視機能を守るために有益である可能性が示唆された
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