2020 Fiscal Year Research-status Report
網膜コリン作動性ニューロンで発見された新奇なアセチルコリン合成経路の検討
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20K09836
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
金田 誠 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (30214480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 俊行 日本医科大学, 医学部, 講師 (10643140)
赤木 巧 日本医科大学, 医学部, 助教 (50192878)
丸山 拓真 日本医科大学, 大学院医学研究科, ポストドクター (90838103)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | プリン受容体 / アセチルコリン / コリン |
Outline of Annual Research Achievements |
P2X2-RとGFPを強制発現させたHEK細胞を、コリン溶液中でインキュベートし、ATPを添加するとコリン取り込みが増加することはHPLCを用いた実験で確認済みである(Ishii …Kaneda 2017 J. Neurophysiol.)。 本研究では、P2X2-Rを介して取り込まれたコリンからAChが産生されるのかどうかについて、HPLCを用いて検討を行った。高濃度コリン溶液中でP2X2-Rを強制発現させたHEK細胞にATPを作用させると、流入したコリンからAChが産生されることはHPLC法で確認することが出来た。しかしながらコロナウイルス感染症の流行に伴う、感染予防措置のため、研究室への出入りを制限せざるを得ない事態となったこと、またその後も感染予防措置(テレワークの導入や三蜜の回避等)を講じた上での研究遂行が求められたため、研究を計画通りに進めることが出来ない状態となった。 上記の理由により、昨年度前半は、研究課題の遂行に必要な基礎的実験条件の検討をほとんど行うことが出来なかった。また研究目的に現在用いている通常のHEK細胞が合致しているのかどうかについての検討は全く行うことが出来なかった。昨年度後半からようやくコロナ下における新しい勤務体制や感染予防体制が機能しはじめたため、昨年度前半に実施する予定であった各種の検討を実施できる状態となった。まだ検討途中ではあるが、通常のHEK細胞でACh合成量を測定することは難しいと判断せざるを得ない結果が得られている。現在実施している通常のHEK細胞での実験結果次第ではあるが、来年度は、ACh合成能を高めたHEK細胞株を使ってATP刺激で細胞内に流入したコリンからのACh合成量を計測する実験計画を立案している。ACh合成能を高めたHEK細胞株は入手済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナウイルス感染症に対する感染予防措置が必要となったため、昨年度の前半は研究室への出入りが制限され、十分な研究時間を確保することが出来なかった。また継続的にコロナウイルス感染症の感染予防措置を講じる必要(テレワークの導入や三蜜の回避等)が生じたため、リモート会議システムの導入を導入したが、システムに習熟するまでの間、教室内でのミーティング等を十分行えなかったことも研究遂行に大きな影響があった。 また物品の納入についても、海外からの輸入品を中心として欠品や納入遅れが生じたため、計画通りのスケジュールで研究を遂行できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度後半から、コロナ下での研究体制が一応確立し、感染拡大前の状況に近い研究環境が整いつつある。まだ十分とは言えない部分もあるが、昨年度実施予定であった研究計画をまず実施し、研究遂行に必要な実験条件の設定を本年度前半中に完了することを目指す。 現在までの研究で、通常のHEK細胞でACh合成量を測定するのみでは十分な成果が得られない可能性があることがわかってきた。このため、ACh合成能を高めたHEK細胞株を使ってATP刺激で細胞内に流入したコリンからのACh合成量を計測する実験計画を立案している。ACh合成能を高めたHEK細胞株は入手済みであり、通常HEK細胞におけるデータ取得と解析が終了次第、実験に着手する予定である。実験に必要な条件は通常のHEK細胞で検討した実験条件を使うことが出来ると考えているので、本年度末までには一定の成果が得られるものと考えている。しかし新しいHEK細胞標本の導入に伴う新たな基礎実験も必要となっており、研究計画の遅れを完全に取り戻せる可能性は低いと考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ感染症拡大に伴う学会中止等の影響で、計上していた旅費を使用する機会がなかった。 消耗品費については、コロナウイルス感染防止に必要な各種消耗品の購入が新たに必要となったこと、コロナウイルス感染症の全世界的な拡大に伴う物流の遅延等の影響で、当初予定していた物品購入計画の変更が必要となった。 次年度以降は、ワクチン接種の進捗に伴い対面での学会開催が再開される可能性があること、物流の正常化に伴う計画的な物品購入が期待できることから、繰越額も含めた計画的な予算の執行を予定している。
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Research Products
(9 results)