2020 Fiscal Year Research-status Report
Brain network changes in pain of critical limb ischemia
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20K09861
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
中井 國博 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 准教授 (80362705)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 下肢虚血 / 疼痛 / MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
下肢虚血疼痛動物モデルにおいて、安定した虚血状態を維持しつつ疼痛行動を持続的に示すモデルの開発を行った。片側の大腿部を皮膚切開し大腿動脈を確認して鼡径靭帯から膝まで剥離を行い中枢側及び末梢側を結紮し切離した。1週間後に腹部正中切開し同側腸骨動脈を確認して下行大動脈から左右腸骨動脈への分岐から鼡径靭帯まで剥離を行い中枢側及び末梢側を結紮し切離した。動脈の切離を下行大動脈から左右腸骨動脈への分岐から大腿動脈の膝まで連続して行うと虚血状態が強く下腿まで壊死することが分かった。安定した虚血状態を維持しつつ疼痛行動を持続的に示すモデルを作成するために、下肢虚血状態について足趾を含めた足末梢が虚血による皮膚障害が生じるものの壊死は下腿まで及ばないようにするように調整する必要があった。そこで動脈の処理を検討した結果、大腿動脈は鼡径靭帯から膝部で分岐する直前まで、腸骨動脈は下行大動脈の左右腸骨動脈の分岐から鼡径靭帯より少し中枢で腹壁に分枝を出す直前まで、切離処理することで安定した結果が得られるようになった。 モデル動物のMRI拡散テンソルトラクトグラフィを評価するMRI撮像条件の設定に向けての撮像を行った。MRI拡散テンソルトラクトグラフィは、神経線維での水分子の拡散異方性の性質を利用して神経線維の走行を可視化する画像法である。MRI拡散テンソルトラクトグラフィの神経線維の表出を評価するための脳領域として、痛み情報が末梢から中枢への伝達される中枢伝導路の主要領域の一つである一次体性感覚野(S1)を選択して検討を行った。条件検討を行った結果、モデル動物において神経線維の増加を確認した。その結果を踏まえ、脳での神経線維の定量的評価を行っていくために、モデル動物作成の最適化を図ったうえでMRI撮像方法・解析方法・評価方法の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画通り、下肢虚血疼痛動物モデルにおいて、安定した虚血状態を維持しつつ疼痛行動を持続的に示すモデルの開発を行うことができた。動脈の処理について、大腿動脈と腸骨動脈で分枝を含めた切離の範囲を決定しなければならないが、大腿動脈は鼡径靭帯から膝部で分岐する直前まで、腸骨動脈は下行大動脈から左右腸骨動脈への分岐から鼡径靭帯より少し中枢で腹壁に分枝を出す直前まで、切離処理することで、下肢虚血状態について足趾を含めた足末梢が虚血による皮膚障害が生じるものの壊死は下腿まで及ばないようにするように調整することができた。それにより、安定した虚血状態を維持しつつ疼痛行動を持続的に示すモデルを作成することが可能となった。モデル動物のMRI拡散テンソルトラクトグラフィを評価するMRI撮像条件の設定に向けての撮像も当初の計画通りに行った。MRI拡散テンソルトラクトグラフィの神経線維の表出を評価するための脳領域として、痛み情報が末梢から中枢への伝達される中枢伝導路の主要領域の一つである一次体性感覚野(S1)を選択して条件検討をした結果、モデル動物において神経線維の増加を確認することができた。その結果を踏まえ、脳での神経線維の定量的評価を行っていくために、モデル動物作成の最適化を図ったうえでMRI撮像方法・解析方法・評価方法の検討をしているところである。ただ、世界レベルでのコロナウィルス感染拡大によりMRIの機材調達・保守・修理に時間を要するようになり、緊急事態宣言が発令されたことで感染予防対策を徹底しなければならないためにMRI撮像時間が制限され、MRI撮像数をなかなか増やすことができず解析への移行が難しくなっている状況ではある。
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Strategy for Future Research Activity |
MRI画像による脳内のイメージング解析に関しては、引き続き脳での神経線維の定量的評価を行っていくために、モデル動物作成の最適化を図ったうえでMRI撮像方法・解析方法・評価方法の検討をしていく。痛みの伝導路の主要領域の一つである一次体性感覚野(S1)を含めた中枢神経系内の痛み関連領域においてMRI拡散テンソルトラクトグラフィの神経線維の表出について評価を行っていく。痛みモデルでの定量解析による脳内のイメージング解析結果が明らかになった段階でその結果に合わせてモデルの脳RNA発現の解析の実験計画を開始する。下肢虚血疼痛動物モデルが安定した虚血状態を維持しつつ疼痛行動を持続的に示す時期(術後28日を想定)で全脳の組織を採取する。採取した脳組織でRNAの網羅的解析を行うが、まず組織よりTotal RNAを取り出しそのクオリティーを確認する。その上で組織分析の処理を行いRNAの変化が得られるかの評価を行う。また、髄鞘化を促進する薬剤をモデルに投与し、神経線維ネットワークの変化を増強させることによる疼痛行動の変化を評価していく。
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Causes of Carryover |
世界レベルでのコロナウィルス感染拡大によりMRIの機材調達・保守・修理に時間を要するようになり、緊急事態宣言が発令されたことで感染予防対策を徹底しなければならないためにMRI撮像時間が制限され、MRI撮像数をなかなか増やすことができず解析への移行が難しくなっている状況であった。さらに、情報収集のための出張も難しい状態であった。そのため、MRI画像による脳内のイメージング解析に関して、個体差やノイズなど補正の条件や設定を調整している状況でありMRI拡散テンソルトラクトグラフィの神経線維の表出の定量解析において安定した結果が得られる段階にまでには達していない。一次体性感覚野(S1)を含めた中枢神経系内の痛み関連領域においてMRI拡散テンソルトラクトグラフィの神経線維の表出について評価を行っていく。痛みモデルでの定量解析による脳内のイメージング解析結果が明らかになった段階で、その結果に合わせてモデルでの脳RNA発現の解析の実験計画を検討していく。
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