2021 Fiscal Year Research-status Report
Brain network changes in pain of critical limb ischemia
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20K09861
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
中井 國博 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 准教授 (80362705)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | MRI / 疼痛 / 下肢虚血 / 動物モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
下肢虚血疼痛動物モデルに対するMRI拡散テンソルトラクトグラフィにおいて、痛み情報が末梢から中枢への伝達される中枢伝導路の主要領域の一つである一次体性感覚野(S1)での神経線維の変化を検討して、脳内での神経線維の定量的評価を行っていくために、モデル動物作成の最適化を行うとともに、MRI撮像方法・解析方法・評価方法を設定した。モデル動物作成の最適化に関しては、動脈の処理を検討し、大腿動脈は鼡径靭帯から膝部で分岐する直前まで、腸骨動脈は下行大動脈の左右腸骨動脈の分岐から鼡径靭帯直前までで、切離処理の位置や長さを調整して行った。痛み関連領域であり一次体性感覚野(S1)と関係があるとされる二次体性感覚野(S2)、一次運動野(M1)、二次運動野(M2)、視床、島(IC)、前頭前野(PFC)、前帯状回(ACC)、前頭眼窩皮質(OFC)での神経線維の定量的評価を行ったところ、一次運動野(M1)、二次運動野(M2)、視床でも神経線維の表出の変化を認めた。MRI拡散テンソルトラクトグラフィでの下肢虚血疼痛動物モデルにおける脳内の痛み関連領域の神経線維の変化を確認できたことを受けて、髄鞘化促進による脳内ネットワークの変化の検証を行うこととした。髄鞘化を促進する薬剤は中枢性の脱髄を起こす多発性硬化症の再髄鞘化の治療を参考にして、髄鞘化を促進する候補の薬剤を下肢虚血疼痛動物モデルに投与して疼痛行動の変化を評価して、投与する薬剤および投与量と投与期間を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画通り、下肢虚血疼痛動物モデルにおけるMRI拡散テンソルトラクトグラフィでの脳内での神経線維の定量的評価を行うために、モデル動物作成の最適化を行うとともに、MRI撮像方法・解析方法・評価方法を設定することができた。痛み関連領域であり一次体性感覚野(S1)および関係があるとされる二次体性感覚野(S2)、一次運動野(M1)、二次運動野(M2)、視床、島(IC)、前頭前野(PFC)、前帯状回(ACC)、前頭眼窩皮質(OFC)での神経線維の定量的評価を行ったところ、一次体性感覚野(S1)一次運動野(M1)、二次運動野(M2)、視床で変化を認めた。MRI拡散テンソルトラクトグラフィでの下肢虚血疼痛動物モデルにおける脳の痛み関連領域の神経線維の変化を確認できたことを受けて、当初の予定通り、髄鞘化促進による脳内ネットワークの変化の検証を行うこととした。髄鞘化を促進する薬剤は中枢性の脱髄を起こす多発性硬化症の再髄鞘化の治療を参考にして、髄鞘化を促進されるとされる薬剤を下肢虚血疼痛動物モデルに投与したうえで疼痛行動の変化を評価して、投与する薬剤および投与量と投与期間に関する検討することができた。ただ、世界レベルでのコロナウィルス感染が終息には至っておらず、海外からの調達が必要なMRIの機材・保守・修理に時間を要するようになり、MRI撮像時間が制限され、MRI撮像数をなかなか増やすことができず解析の進捗が遅くなる傾向にあった。
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Strategy for Future Research Activity |
MRI画像による脳内のイメージング解析に関しては、下肢虚血疼痛動物モデルにおけるMRI拡散テンソルトラクトグラフィでの脳での神経線維の定量的評価で変化が明らかになった痛み関連領域である一次体性感覚野(S1)一次運動野(M1)、二次運動野(M2)、視床の関連性を評価するとともに,視床においてはさらに細かい領域について評価を行う。さらに他の痛み関連領域での評価も行う。神経線維の定量解析による脳内のイメージング解析結果が明らかになった段階で、その結果に合わせてモデルの脳RNA発現の解析の実験計画を開始する。下肢虚血疼痛動物モデルが虚血状態を維持しつつ疼痛行動を持続的に示す時期(術後28日を想定)で全脳の組織を採取する。採取した脳組織でRNAの網羅的解析を行うが、まず組織よりTotal RNAを取り出しそのクオリティーを確認する。その上で組織分析の処理を行いRNAの変化が得られるかの評価を行う。また、髄鞘化促進による脳内ネットワークの変化の検証に関しては、髄鞘化を促進する候補の薬剤を下肢虚血疼痛動物モデルに投与したうえで痛行動の変化を評価していくが、投与する薬剤および投与量と投与期間を検討しており、その投与条件を基に髄鞘化を促進する候補の薬剤をモデルに投与し、神経線維ネットワークの変化を増強させることによる疼痛行動の変化を評価していく。
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Causes of Carryover |
世界レベルでのコロナウィルス感染が終息には至っておらず、海外からの調達が必要なMRIの機材・保守・修理に時間を要するようになり、MRI撮像時間が制限され、MRI撮像数をなかなか増やすことができず解析の進捗が遅くなる傾向にあった。そのため、MRI画像による脳内のイメージング解析に関して、MRI拡散テンソルトラクトグラフィの神経線維の定量解析において必要なMRI撮像数がかろうじて確保できた状況であった。MRI拡散テンソルトラクトグラフィによる痛みモデルでの定量解析による脳内のイメージング解析結果が明らかになった段階で、その結果に合わせて下肢虚血疼痛動物モデルでの脳RNA発現の解析の実験計画を検討していく。
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