2023 Fiscal Year Annual Research Report
Application of regenerative therapy to skin ulcer caused by deep dermal burn for scarless healing
Project/Area Number |
20K09862
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
岡野 純子 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (50447968)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 創傷治癒 / 組織再生 / 難治性皮膚潰瘍 / 骨髄細胞 / スキャフォールド |
Outline of Annual Research Achievements |
全身熱傷後の広範囲皮膚・軟部組織欠損創に対し、将来、外科治療に取って代わるスキャフォールド開発を試みた。予備実験でいくつかの素材をラット皮膚軟部組織欠損創に試した結果、ゼラチンスポンジ(GS)を留置した場合にもっとも良い創治癒が得られた。筋膜も切除された深い創の場合、GS+群では創作成15日目ではGS-群より上皮化した面積が有意に小さかったものの、創作成30日後ではGS-群より有意に上皮化していた。組織学解析にて、GS+群では血管新生が多数見られた他、毛包の再生も見られたのに対し、GS-群では厚いコラーゲン線維の形成が見られた。Masson-Trichrome染色では、GS-群では膠原線維が染まる青が皮下組織および皮膚全層に渡って広く分布していたのに対し、GS+群では皮下組織に薄く膠原線維が染まるにすぎず、組織解析の結果を裏付けた。また、GS+群では齧歯類に特有のPanniculus carnosusの再生が認められ、これが瘢痕拘縮の予防となり創作成15日目では上皮化面積がGS-群と比べて小さかったと考えられた。 次に野生型ラットに9Gyの放射線を照射して骨髄細胞を払拭させた後、GFPラットの骨髄細胞を移植した骨髄移植ラットを用いて同様の実験を行った。GS+群では、GS内に骨髄細胞が有意に多く集積し、かつ血管新生に寄与して血管内皮細胞に分化していた。さらに、GS+群の新生血管の周囲には骨髄細胞由来の周皮細胞が多く観察されたのに対し、GS-群の新生血管の周囲にはほとんど認められなかった。この実験結果は、GS群では骨髄由来細胞の遊走環境が整ったことにより、骨髄由来細胞によって血管が新生された結果、vascular nicheの形成が可能になって瘢痕かつ瘢痕拘縮の少ない創治癒が実現できたと考えられる。
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