2020 Fiscal Year Research-status Report
神経節マクロファージとニューロンとのコンタクトは神経因性疼痛のスイッチとなるか?
Project/Area Number |
20K09881
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
岩井 治樹 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (30452949)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 甫 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (10623340)
八坂 敏一 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (20568365)
安宅 弘司 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任講師 (30563358)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | マクロファージ / 末梢神経 / 感覚神経節 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、口腔や顔面の神経因性疼痛時、「血管浸潤性あるいは組織常在性マクロファージが神経節ニューロンにコンタクトすることで、このニューロンの遺伝子発現が誘導され、ここから産生された因子が中枢に放出、二次ニューロンの活動を促進し、神経因性疼痛が惹起される」という仮説を証明することである。
2020年度は、実験計画1の「血管浸潤性あるいは組織常在性マクロファージのどちらが関わるか? 」について、実験を進行させた。野生型マウスの頭部に鉛のヘッドキャップを装着し、放射線処理した。その後、このマウスに GFP マウスから採取した骨髄由来細胞を導入し、キメラマウスを作製した。キメラマウスの三叉神経 (上顎神経) を切断、潅流固定後、免疫組織染色した。
神経損傷7日後、三叉神経節では、GFP 陽性・Iba1 陽性の血管浸潤性マクロファージおよび GFP 陰性・Iba1 陽性の組織常在性マクロファージ両方の細胞数の増加が認められた。血管浸潤性マクロファージと組織常在性マクロファージを比較したところ、神経節に存在するマクロファージの大部分は組織常在性であることが明らかとなった。さらに、Iba1陽性マクロファージ、NeuroTrace 陽性神経節ニューロン、およびグルタミン合成酵素陽性衛星細胞の三次元再構築像を構成したところ、多数のマクロファージが神経節ニューロンと衛星細胞との間に入り込み、さらにマクロファージとニューロンとの間でコンタクト構造を示すことが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初実験計画通りに進行しているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、次の項目について研究を進行させる予定である。実験計画1「血管浸潤性あるいは組織常在性マクロファージのどちらが関わるか? 」について、それぞれのマクロファージに発現しているマーカーの発現量の違いについてフローサイトメトリーとリアルタイム PCR にて解析する。これらの実験により、神経因性疼痛時のマクロファージの特徴を明らかにする。また、実験計画2 「マクロファージ単独の活性化により神経節ニューロンから産生・放出される因子は何か?」:1 マウスの三叉神経を結紮した後、神経節ニューロンで上昇する候補因子の発現量について、フローサイトメトリーとリアルタイム PCR にて解析する。
|
Causes of Carryover |
COVID-19 により移動、物流に問題が生じたため。これらは次年度、当該年度と同様の目的で使用する予定である。
|