2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K09905
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
浅野 智志 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (30570535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兼松 隆 九州大学, 歯学研究院, 教授 (10264053)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 乳癌 / 細胞遊走 / PI3K / イノシトールリン脂質 / アクチン / VIP / VPAC2 / VIPR2 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌細胞の移動のし易さは、癌の転移能と密接に関わっている。本研究において、我々はこれまで血管作動性腸管ペプチド(vasoactive intestinal peptide: VIP)受容体2 (VIPR2)が細胞遊走に関わることを見出した。VIPの添加によってヒト乳癌由来MCF-7細胞やMDA-MB-231細胞の移動能が亢進し、この作用はVIPR2をノックダウンした細胞では低下し、外来性のVIPR2を安定発現させた細胞ではさらに増加した。また新規に開発したVIPR2特異的アンタゴニストの添加によっても細胞遊走は阻害された。しかし当時は、VIP-VIPR2下流の細胞遊走に関わるシグナル伝達経路は不明のままであった。 我々は令和3年度の研究によって、VIPR2シグナルがPI3K活性を上昇させることを明らかにした。PI3Kの活性化は細胞膜PI(3,4,5)P3量を増加させ、細胞遊走に必須の仮足形成や伸長を促進させる。実際に、VIPR2のノックダウンはMDA-MB-231細胞の葉状仮足の形成とその伸長を抑制した。仮足形成時、WASP family verprolin homologous protein 2 (WAVE2)はPI(3,4,5)P3と結合し、活性化する。活性化型WAVE2はactin-related protein 2/3と共に細胞膜直下のアクチンを重合させ、その結果、仮足が伸長する。VIPR2過剰発現細胞を用いた免疫染色によって、VIPR2がWAVE2と共に葉状仮足に局在していることを明らかにした。 これらの発見は、VIP-VIPR2シグナリングが、PI(3,4,5)P3合成を促進させ、WAVE2を介して仮足の伸長を調節することにより、癌細胞遊走を制御していることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
VIPR2による細胞遊走調節のメカニズムを明らかにするための研究を鋭意進めておりおおむね予定通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
免疫不全マウスにVIPR2安定発現癌細胞を移植し、移植部位における癌の細胞増殖や転移がコントロール癌細胞と比較して亢進するか検討する。
癌転移におけるVIPR2アンタゴニストの効果を転移モデルによって調べる。
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Causes of Carryover |
論文掲載料にと考えていたが、追加実験等のため次年度に延びたため使用できなかった。 最終年度には掲載料として必ず使用する。
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Research Products
(13 results)
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[Presentation] Overexpression of VIPR2 in neurons causes defects in dendritic growth and cognitive impairment2021
Author(s)
Tatsunori Miyaoka, Lu Chen, Mei Yamada, Daichi Koan, Satoshi Asano, Kenji Ishimoto, Shinsaku Nakagawa, Atsuko Hayata, Takanobu Nakazawa, Akihiro Harada, Hitoshi Hashimoto, James A. Waschek, Yukio Ago
Organizer
The 7th Congress of the Asian College of Neuropsychopharmacology (AsCNP)
Int'l Joint Research
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[Presentation] 脳神経細胞 での VPAC2 受容体の過剰発現は認知機能障害を引き起こす2021
Author(s)
古庵大地,今戸瑛二,浅野智志,ChenLu,宮岡辰典,山田めゐ,石本憲司,中川晋作, 早田敦子, 中澤敬信, 原田彰宏, 橋本 均, Waschek James, 吾郷由希夫
Organizer
日本薬学会第 141 年会
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[Presentation] ヒト VPAC2 受容体の過 剰発現を細胞種特異的かつ時空間的に制御可能な新しいトランスジェニックマウスモ デルの開発2021
Author(s)
宮岡辰典, 陳 露, 山田めゐ, 古庵大地, 浅野智志, 石本憲司, 中川晋作, 早田敦子, 中澤敬信, 原田彰宏, 橋本 均, Waschek James, 吾郷由希夫
Organizer
第 43 回日本生物学的精神医学会・第 51 回日本神経精神薬理学会
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