2020 Fiscal Year Research-status Report
低体重出生に関わる苦味受容体を介した歯周病原細菌の影響
Project/Area Number |
20K09925
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
石河 太知 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (10569247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小笠原 正人 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (00325367)
佐々木 大輔 岩手医科大学, 歯学部, 准教授 (30453327)
馬場 長 岩手医科大学, 医学部, 教授 (60508240)
小山 理恵 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (20291619)
下山 佑 岩手医科大学, 歯学部, 准教授 (90453331)
佐々木 実 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (40187133)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 歯周病原菌 / 血管内皮細胞 / 苦味受容体 / 血管新生因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
50年間で半減した出生数は常に社会問題化してきたが、それと反比例するように低出生体重児の割合は倍増し、NICUでの診療を逼迫している。さらに低出生体重児は将来の発育にも影響が懸念されることは厚生労働省でも問題視されている。したがって、低出生体重児の割合を減少させることは極めて重要な課題である。また、歯周病が早産や低体重児出産のリスクを倍増するという報告もある。そこで申請者は若手研究(B)や複数の競争的外部資金 を獲得する事によって、胎児の発育に重要な胎盤や、臍帯を構成する血管系の恒常性破綻と歯周病原細菌との関わりを独自に検索してきた。その結果、歯周病原細菌が血管内皮細胞の苦味受容体発現に影響を及ぼすというユニークな傍証を掴んできた。そこで本研究では、低出生体重児を減少させることを最終目標とし、歯周病原細菌による苦味受容体を介した血管の恒常性破綻への影響を分子生物学的観点から詳細に明らかにすることを目的とした。 本年度は予備実験において血管内皮細胞に発現が確認された24種の苦味受容体についてEscherichia coli やPorphyromonas gingivalis のLPSを用いて刺激し、その発現に対する影響を検討した。 その結果、複数の苦味受容体の発現が上昇し、特にE.coli 刺激で発現が上昇した苦味受容体が多かった。 また、熱処理した菌体やLPS 刺激において血管新生因子の発現についても検討を加えている。次年度はこの血管新生因子についてタンパクレベルでの解析に着手する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は予備実験において血管内皮細胞に発現が確認された24種の苦味受容体についてEscherichia coli やPorphyromonas gingivalis のLPSを用いて刺激し、その発現に対する影響を検討した。 その結果、複数の苦味受容体の発現が上昇し、特にE.coli 刺激で発現が上昇した苦味受容体が多かった。 これにより現在まで明らかとされていなかった、苦味受容体の発現に対する細菌の影響が明らかになりつつある。さらに次年度の計画にも着手していることから、現在までの進捗状況としては概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに明らかになった事に加え、より詳細な検討を加える。具体的には細菌刺激による血管新生因子の発現増強に関してタンパクレベルでの検討を行う。細菌刺激には熱処理した歯周病原細菌の他、E. coli LPS、P. gingivalis LPSを使用し、時間依存的な変化も観察する。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス関連により、予定していた学会への参加が出来ず、また試薬の購入も遅れたため、次年度使用額が生じた。現在は試薬の調達も通常に近くなったため、ELISA kitなど、予定していた実験を行う予定である。
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