2020 Fiscal Year Research-status Report
接合上皮発現タンパク質の発現制御による歯周病治療戦略
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20K09945
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小方 頼昌 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (90204065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 洋平 日本大学, 松戸歯学部, 准教授 (30434088)
高井 英樹 日本大学, 松戸歯学部, 准教授 (30453898)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アメロチン / 歯肉上皮細胞 / TNF-α / 歯周炎 / マイクロRNA / miR-200b / IKKβ |
Outline of Annual Research Achievements |
アメロチン(AMTN)は,成熟期エナメル芽細胞と歯肉接合上皮に発現するエナメルタンパク質である。TNF-αは,歯肉上皮細胞(Ca9-22細胞)でのAMTNの遺伝子発現を増加させるが, 増加したAMTNの遺伝子発現へのmiR-200bの関与を解析した。Ca9-22細胞をTNF-αで刺激すると,miR-200bの発現が増加し,miR-200b発現プラスミドをCa9-22に導入すると,細胞でのmiR-200b の発現量が増加したが,コントロール発現プラスミドを導入してもmiR-200b の発現量に変化はなかった。TNF-α刺激により増加したAMTNmRNA量は,miR-200bの過剰発現で抑制され、miR-200bのインヒビターオリゴヌクレオチドを細胞に導入すると、AMTNmRNA量はさらに増加した。TNF-α刺激によるAMTNmRNA量の増加は,IKKβインヒビターのIMD0354とNF-κBインヒビターであるTriptplideで部分的に抑制された。Ca9-22細胞をTNF-αで経時的に刺激後,タンパク質を抽出し,Western blotを行った結果,AMTNタンパク質量は刺激3時間後から増加し,12時間後には最大に達した。また,TNF-α刺激6および12時間後にIKKβのタンパク質量の増加が認められた。IKKβの3-UTRにmiR-200bの結合配列があることから,Ca9-22細胞でのIKKβの遺伝子発現に対するmiR-200bの影響をTNF-α刺激有または無しで解析した。Ca9-22細胞でのIKKβmRNA量は,miR-200b過剰発現で抑制された。さらに,TNF-α刺激でIKKβmRNA量は増加し,miR-200b過剰発現で抑制された。以上の結果から,歯肉上皮細胞においてmiR-200bはAMTNとIKKβをターゲットにしてAMTN遺伝子発現を抑制することが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歯肉接合上皮で発現するアメロチン(AMTN)にターゲットを絞り、炎症サイトカインであるTNF-αのAMTNの遺伝子発現に対する影響を解析するとともに、AMTNの遺伝子発現へのマイクロRNAの1種であるmiR-200bの関与をCa9-22細胞を用いて解析した結果、TNF-α刺激により増加したAMTNmRNA量は,miR-200bの過剰発現で抑制されることが明らかになった。また、TNF-α刺激によるAMTNmRNA量の増加は,IKKβインヒビターで部分的に抑制されることが判明した。 Ca9-22細胞をTNF-αで経時的に刺激後,タンパク質を抽出し,Western blotを行った結果,AMTNタンパク質量は刺激3時間後から増加し,12時間後には最大に達し,TNF-α刺激6および12時間後にIKKβのタンパク質量の増加が認められた。 Ca9-22細胞でのIKKβmRNA 量は,miR-200b過剰発現で抑制されるが,TNF-α刺激でIKKβ mRNA量は増加し,miR-200b過剰発現で抑制された。以上の結果が得られたことから,歯肉上皮細胞においてmiR-200bはAMTNとIKKβをターゲットにしてAMTN遺伝子発現を抑制することが判明し、研究は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
アメロチン以外で接合上皮で発現するタンパク質である,Odontogenic ameloblast-associated protein(ODAM)の発現は成熟期エナメル芽細胞および接合上皮に限局する。接合上皮でのODAMの役割と炎症歯肉における転写調節機構を解明するために,歯肉上皮細胞でのODAMの遺伝子発現に対する炎症性サイトカインの影響について解析を行っていく。Ca9-22ヒト歯肉上皮細胞を、TNF-α(10 ng/ml)またはIL-1β(1 ng/ml)で経時的に刺激後,全RNAを抽出し,ODAMmRNA量およびタンパク質発現の変化をReal-time PCRおよびWestern blotで解析する。Ca9-22細胞をTNF-αまたはIL-1βで6時間刺激し,細胞内でのODAMタンパク質発現の変化を免疫染色で解析する。Ca9-22細胞をTNF-α(10 ng/ml)およびIL-1β(1 ng/ml)で3,6,12,24時間刺激し,ODAMのmRNA量およびタンパク質量の変化を解析予定である。Ca9-22細胞をTNF-α(10 ng/ml)およびIL-1β(1 ng/ml)で刺激後,免疫染色を行う予定である。
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] Applying the Item Response Theory Graded Response Model.2020
Author(s)
Nomura Y, Morozumi T, Fukuda M, Hanada N, Kakuta E, Kobayashi H, Minabe M, Nakamura T, Nakayama Y, Nishimura F, Noguchi K, Numabe Y, Ogata Y, Saito A, Sato S, Sekino S, Sugano N, Sugaya T, Suzuki F, Takahashi K, Takai H, Takashiba S, Umeda M, Yoshie H, Yoshimura A, Yoshinari N, Nakagawa T
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Journal Title
Journal of Clinical Medicine
Volume: 9
Pages: 3754
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] A multicenter prospective cohort study on the effect of smoking cessation on periodontal therapies in Japan.2020
Author(s)
Nakayama Y, Mizutani K, Tsumanuma Y, Yoshino H, Aoyama N, Inagaki K, Morita M, Izumi Y, Murakami S, Yoshimura H, Matsuura T, Murakami T, Yamamoto M, Yoshinari N, Mezawa M, Ogata Y, Yoshimura A, Kono K, Maruyama K, Sato S, Sakagami R, Ito H, Numabe Y, Nikaido M, Hanioka T, Seto K, Fukuda J, Warnakulasuriya S, Nagao T
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Journal Title
Journal of Oral Science
Volume: 63
Pages: 114-118
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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