2021 Fiscal Year Research-status Report
接合上皮発現タンパク質の発現制御による歯周病治療戦略
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20K09945
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小方 頼昌 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (90204065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 洋平 日本大学, 松戸歯学部, 准教授 (30434088)
高井 英樹 日本大学, 松戸歯学部, 准教授 (30453898)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 歯周炎 / 接合上皮 / ODAM / TNF-α / IL-1β / マイクロRNA / 転写調節 |
Outline of Annual Research Achievements |
エナメルマトリックスタンパク質であるAmelotin (AMTN) とOdontogenic ameloblast-associated protein (ODAM) は、成熟期エナメル芽細胞と接合上皮で発現が認められることから、接合上皮とエナメル質の接着および歯周組織の健康の維持に重要なタンパク質であると考えられる。接合上皮細胞に近似した性質を持つCa9-22細胞を、炎症性サイトカインであるTNF-αまたはIL-1βで刺激後に全RNAおよびタンパク質を抽出し、リアルタイムPCRおよびウエスタンブロットで遺伝子およびタンパク質発現を解析した。ODAM遺伝子プロモーターを挿入したルシフェラーゼ(LUC)コンストラクトをCa9-22細胞に導入後,IL-1βまたはTNF-αで12時間刺激し,LUC活性を測定した。IL-1βまたはTNF-αでCa9-22細胞を刺激し,核内タンパク質を使用してゲルシフトアッセイを行った。Ca9-22細胞をIL-1βまたはTNF-αで刺激すると,ODAMのmRNAおよびタンパク質量の増加が認められ,転写開始点から-480塩基対上流までのODAM遺伝子プロモーターを含むLUCコンストラクトの活性が上昇し,MEK,チロシンおよびPI3キナーゼ阻害剤によりLUC活性は抑制された。IL-1βまたはTNF-αで刺激するとYin Yang1およびCCAAT/enhancer binding protein結合配列への核内タンパク質の結合が増加したことから,IL-1βとTNF-α刺激により誘導された転写因子がYY1およびC/EBP配列に結合し,ODAMの転写を調節している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エナメルマトリックスタンパク質の中で,特に成熟期エナメル芽細胞と接合上皮で発現が認められ,接合上皮とエナメル質の接着および歯周組織の健康の維持に重要なタンパク質であると考えられるOdontogenic ameloblast-associated protein (ODAM)に注目して研究を進めている。Ca9-22細胞を炎症性サイトカインであるTNF-αまたはIL-1βで刺激する際に,適正濃度を解析するために,様々な濃度のTNF-αまたはIL-1βで刺激後,全RNAおよびタンパク質を抽出し,リアルタイムPCRおよびウエスタンブロットを行った結果,TNF-αは10 ng/mlが,IL-1βは1 ng/mlが最適濃度であることを同定した。また,本濃度のTNF-αまたはIL-1βで経時的に刺激し,最適刺激時間を解析した結果,12時間刺激が効果的であることが判明した。ODAM遺伝子プロモーターを挿入したLUCコンストラクトをCa9-22細胞に導入後,TNF-α(10 ng/ml)またはIL-1β(1 ng/ml)で12時間刺激し,LUC活性を測定した結果,転写開始点から-480塩基対上流までのODAM遺伝子プロモーターを含むLUCコンストラクトの活性が上昇したことから,TNF-αおよびIL-1β応答配列が転写開始点から-480塩基対上流までのODAM遺伝子プロモーター中に存在することが明らかになっており,研究はおおむね順調に進行していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
IL-1βまたはTNF-αでCa9-22細胞を刺激後,核内タンパク質を抽出し,ゲルシフトアッセイを行い,ODMA遺伝子プロモーター配列に実際に結合するか,また,どの配列に特異的に結合するかの確認が必要である。さらに,ゲルシフトアッセイは試験管内の結合であるため,細胞内での転写因子の遺伝子プロモーター配列への結合を確認するために,クロマチン免疫沈降法を用いて解析を行っていく。Ca9-22細胞をIL-1βまたはTNF-αで刺激後,どの様な細胞内情報伝達系をかいしてODAMの転写調節が行われているかを解析するために、リン酸化阻害剤等の各種インヒビターを用いたアッセイを実施する。。遺伝子プロモータ―配列中には,転写因子が結合する応答配列(レスポンスエレメント)が多数存在するが,IL-1βまたはTNF-αでCa9-22細胞を刺激後,核内でどの様な転写因子が増加または減少し、それらの転写因子が遺伝子プロ―モーターのどの部分に結合するかの解析を進めていく。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Epstein-Barr Virus Promotes the Production of Inflammatory Cytokines in Gingival Fibroblasts and RANKL-Induced Osteoclast Differentiation in RAW264.7 Cells2022
Author(s)
Yokoe S, Hasuike A, Watanabe N, Tanaka H, Karahashi H, Wakuda S, Takeichi O, Kawato T, Takai H, Ogata Y, Sato S, Imai K
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Journal Title
International Journal of Molecular Sciences
Volume: 22
Pages: 809
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Prospective Longitudinal Changes in the Periodontal Inflamed Surface Area Following Active Periodontal Treatment for Chronic Periodontitis2021
Author(s)
Nomura Y, Morozumi T, Saito A, Yoshimura A, KakutaE, Suzuki F, Nishimura F, Takai H, Kobayashi H, Noguchi K, Takahashi K, Tabeta K, Umeda M, Minabe M, Fukuda M, Sugano N, Hanada N, Yoshinari N, Sekino S, Takashiba S, Sato S, Nakamura T, Sugaya T, Nakayama Y, Ogata Y, Numabe Y, Nakagawa T
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Journal Title
Journal of Clinical Medicine
Volume: 10
Pages: 1165
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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