2022 Fiscal Year Annual Research Report
基質糖化に起因した歯髄の異所性石灰化メカニズムの解明と臨床応用法の開発
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20K09973
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三浦 治郎 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (70437383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北條 裕信 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (00209214)
清水 真人 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (70380277)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 糖化最終産物 / 歯髄細胞 / 老化 / 異栄養性石灰化 / 象牙質 / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
2型糖尿病は、一般的に知られた生活習慣病であり、高血糖状態を持続する代謝疾患である。重症例では、糖尿病網膜症、腎症、神経障害など様々な合併症がある。糖尿病合併症では、長期間の高血糖状態により糖化最終産物(以下AGEs)が組織内に蓄積することが報告されている。特に血管において蓄積することで大血管から微小血管まで様々な障害を起こすことが報告されている。また口腔内の疾患とも関連があり歯周病をはじめ、歯髄内石灰化が発生することが報告されているが、そのメカニズムは不明な点が多い。本研究は、慢性的な高血糖状態により歯髄内に石灰化が発生することを観察し、形態学的、組織学的、機能学的に多面的な評価を行いその発生メカニズムを明らかにすることを目的とした。 本研究により糖尿病ラットにおいて血糖値の上昇期に、歯髄腔内に不均一な構造の石灰化物が観察された。歯髄内において、11週齢以降ではcarboxymetyllysinやpentosidineやそれらのレセプターであるRAGEの発現が認められ、また血流障害による低酸素状態も呈していることが分かった。石灰化の異常には歯種による差異も見られ咬合力なども影響していることが示唆された。ラットの顎骨より採取したデータを元に行ったコンピュータシミュレーションでは、咬合力が根尖周囲に集中していることが確認でき、血流障害の一因になっていることも示唆された。これらのことより歯髄内での石灰化は、AGEsの蓄積に関連した炎症状態や血流障害による歯髄内の低酸素状態などに起因した細胞障害により生じた異栄養性石灰化である可能性が示唆された。
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Research Products
(7 results)