2022 Fiscal Year Research-status Report
脂肪由来幹細胞による唾液腺特異的傷害モデルマウスの組織再生と促進因子の網羅的解析
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20K10002
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
松本 直行 鶴見大学, 歯学部, 教授 (20386080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 一郎 鶴見大学, 歯学部, 教授 (60147634) [Withdrawn]
中山 亮子 鶴見大学, 歯学部, 助教 (50749843)
尾曲 大輔 鶴見大学, 歯学部, 助教 (10608699)
山崎 智恵 鶴見大学, 歯学部, 学部助手 (80817122)
井上 裕子 日本薬科大学, 薬学部, 教授 (50367306)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脂肪幹細胞 / 口腔乾燥症 / 再生医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦では口腔乾燥症患者は人工唾液を利用するなど症状を和らげる治療(対症療法)を受けており、唾液腺(唾液を作る組織)の萎縮に対する根本的な治療方法は確立されていない。本研究課題では脂肪組織から得られた幹細胞を唾液腺に移植し、唾液腺組織の修復と機能回復のメカニズムを解明する事を目的にしている。 唾液腺特異的傷害モデルとして、ジフテリアトキシン(DT)受容体(hHB-EGF)を唾液腺だけに発現させた遺伝子改変マウス(MUC7p-TRECK)に対してDTを腹腔内へ投与し、唾液腺組織傷害と唾液分泌量低下の程度を評価し、脂肪由来幹細胞移植による唾液腺組織再生の実験条件を検討した。また脂肪由来幹細胞の供与体(ドナー)としてC57BL/6マウスの鼠径部脂肪組織を切除・細切した後にコラゲナーゼにより分散し、間質血管細胞群と呼ばれる脂肪幹細胞を豊富に含む細胞群を単離した。間質血管細胞群に含まれる脂肪由来幹細胞の存在率を検討するため、脂肪由来幹細胞が多く産生する蛋白であるSca-1およびCD34をマーカーとしてフローサイトメーターを用いて総細胞数と脂肪由来幹細胞の数を求めた。 遺伝子改変マウスであるMUC7p-TRECKに対して腹腔へDTを投与したところ、唾液分泌量がDT投与前に比べ有意に低下し、唾液腺組織の観察では顆粒導管細胞と周囲の腺房細胞にアポトーシスを生じた細胞群がみられた。またDT投与群はコントロール(生理食塩水投与群)に比べてDNAの損傷がみられた。間質血管細胞群は継代培養を進めるに伴い老化が生じていることが示唆されたため、細胞老化の状況を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
世界的な紛争ならびに新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴う物品の供給停滞や、講座内の人員配置変更による他の業務の増加により研究の遂行に遅延が発生した。唾液腺組織傷害を評価するため唾液腺組織特異的傷害モデルとしてMUC7p-TRECKマウスを用いているが、研究に十分な頭数のホモ接合体を得るのに当初の予定よりも期間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記理由より進捗が遅れたために研究計画期間延長を申請した。研究実施時期を除き研究実施計画に大きな変更はない。研究実施計画に基づき、間質血管細胞群ならびに脂肪由来幹細胞の分取・培養プロトコールを最適化し、幹細胞移植に十分な量の脂肪由来幹細胞確保を目指す。また、得られた脂肪由来幹細胞を唾液腺傷害モデルマウスに移植した後、組織の再生を形態学的(TUNEL陽性細胞および細胞死関連因子の発現・局在)に解析し、さらに唾液の定量的・定性的解析(唾液分泌量、総タンパク量やEGFR-2アゴニスト量等)を実施する。
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Causes of Carryover |
上述の理由により研究が遅れたため、次年度使用額が生じた。本研究課題では培養細胞と実験動物を用いるため、これらの維持・管理に必要な経費が必要となる。また、各実験には様々な抗体や試薬、測定キットを用いるため、これらの購入経費が必要となる。
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