2020 Fiscal Year Research-status Report
Evaluation of implant capability from the aspect of cellular morphology regulation by surface topography and osteoimmunology
Project/Area Number |
20K10054
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
荻野 洋一郎 九州大学, 歯学研究院, 准教授 (50380431)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古谷野 潔 九州大学, 歯学研究院, 教授 (50195872)
高橋 良 九州大学, 歯学研究院, 助教 (60637924)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | インプラント / 表面形状 / 骨芽細胞 / 破骨細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、インプラント体(チタンディスク)と生体の要素(細胞種)を複数条件設定し、それぞれの条件下における細胞の挙動を検証することを目的としている。 2020年度は初年度でチタンディスクの性質の検証、データ採取を行った。このデータには、インプラントの表面処理(マイクロサーフェイス:サンドブラスト+酸処理、ナノサーフェイス:サンドブラスト+酸処理)を行ない、それぞれの表面が持ち合わせているインプラント表面形状の電子顕微鏡写真(SEM)下での観察、粗さ測定、また本研究では重要と考えられる時間経過に伴うぬれ性の変化を計測した。表面形状は、それぞれで特徴的な形態を示し、各処理で異なった形状を作成できることが示された。粗さについては、マイクロ、ナノサーフェイスでそれぞれ有意差はないものの、作製直後では、ぬれ性は親水性を示すのに対し、時間経過によって、マイクロサーフェイスでは早期に、ぬれ性が低下することが示された。 使用細胞についてはまずは間葉系の細胞を主として細胞の増殖能、分化能の検証を行った。細胞はうまく増殖分化し、骨形成に関わる検証が可能であることが示された。また、ディスク上においては、細胞の形態に注視し、蛍光免疫染色で細胞形態の観察を行った。この検証では、表面形状の相違やぬれ性に相違に関わらず、視覚レベルでは顕著な差を認めなかった。これにより、今回、検証を行った表面形状は、ぬれ性に影響を細胞形態においてはぬれ性に影響を受けにくいことを示された。 また、破骨細胞株について培養実験を行った。現在保有している細胞では、これまで用いていた培養条件では分化状態が不良であったために、使用する血清や培養液の選別を行っているところである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
チタンディスクの生成や検証、骨芽細胞の培養については当初、予定していた検証が確認できたと考えられる。しかし、破骨細胞については、当初の予定よりもやや遅れており、これは上記にもあるようにこれまでの条件下での破骨細胞形が悪くなったことがある。これには、培養に使用する血清との相性や分化に必要なタンパクの至適濃度が定まっていないことがある。次年度では、これらの検証を早急に行い、当初の予定に即した研究の遂行に取り組みたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
それぞれ条件(形状、ぬれ性)の異なったディスク上で細胞の増殖能、分化能を検証する。これによりそれぞれのチタンディスクの表面形状、性状が持ち合わせる骨形成能についての検証が可能となる。また、細胞の走化性、遊走能についても検証をする予定で、チャンバーを用いた培養実験も検討している。 次に破骨細胞の検証を行う。破骨細胞については、現在保有している細胞株では、これ以上の検証が困難と考えられるため新たな購入を検討している。この際、その細胞株の特性を踏まえて、特にケモカインの生成ができる細胞であるかなど、複数の予備実験が必要と考えている。この結果を踏まえて、破骨細胞のチタンディスク上での培養やチタンディスク上に破骨細胞の前駆細胞を播種し、これらの細胞がそれぞれのチタンにおいてどのような相違を見せるのか、特に骨芽細胞系の細胞の遊走能(走化性)に関する検証を主として行いたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
実際の研究活動は計画的に進められたと思われるが、学会での情報取集等がなかったために今年度は使用額が当初の予定よりも少なくなった。 今後は研究活動を支障なく進めるために先述の通り、より研究に適すると考えられる細胞株とそれに適した培養液、血清などの購入を考えている。また正確な実験を遂行するために研究に必要である機器の購入等を検討している。これらは今後の研究活動を円滑に進めるために有意義な手段と考えている。 また、やや遅れている研究活動の円滑な遂行のために、研究をサポートしてくれる人員の雇用も検討している。新年度も学会の開催等もなく、当初に予定していた旅費の使用もほとんどないと予想されるために、併せてこれらの予算執行の状況を再検討する予定である。
|