2020 Fiscal Year Research-status Report
人工知能による深層学習を応用した運動障害性咀嚼障害の多軸診断支援システムの開発
Project/Area Number |
20K10071
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大野 彩 (木村彩) 岡山大学, 大学病院, 講師 (20584626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪木 拓男 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (00225195)
森田 瑞樹 岡山大学, ヘルスシステム統合科学研究科, 教授 (00519316)
菊谷 武 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (20214744)
百田 龍輔 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (80263557)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 咀嚼運動 / 嚥下運動 / 摂食嚥下障害 / 人工知能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究では、①咀嚼運動を撮影した動画から評価できる「咀嚼機能評価プロトコール」の診断結果が、十分な信頼性・妥当性を有するかどうかを、臼歯部移送試験や専門医の診断等と比較して評価する。また②そのプロトコールを用いて、患者および正常咀嚼者の動画撮影および診断を行い、教師データを収集する。そして、③教師データを人工知能(AI)深層学習に供し、AIによる運動障害性咀嚼障害診断システムを開発することを目的としている。 本年度は、人を対象とする医学系研究に関する倫理指針に則り、本研究計画について倫理審査委員会の承認を得た。そして、動画を用いた運動性咀嚼機能評価法の信頼性・妥当性の確認のため、まずは健常者にてプロトコールおよび咀嚼解析システムの精度確認を行った。その結果、撮影角度、影や眼鏡等の影響による運動検出精度の低下が明らかとなった。そのため、システムの改良を行い、運動検出精度を向上させることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度後半より患者(要介護高齢者)でのデータ収集を開始する計画であったが、新型コロナウイルス感染症の影響による研究実施制限、高齢者施設等への立ち入り制限等によりデータ収集を開始することが困難であった。しかし、その間に新たな技術を応用した運動データ収集システムの改良に取り組み、運動解析の精度を向上することに成功した。また、新型コロナウイルス感染症が長期化する可能性が高いため、家族等による撮影が可能となる機能を開発した。したがって研究としては概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の対策を講じた上で、患者を対象としたデータ収集を開始する。まずは両側臼歯部に咬合支持がある正常咀嚼高齢者15名、咀嚼・嚥下機能の専門医により運動障害性咀嚼障害と診断されている高齢者15名を対象に、携帯型深度センサー付きカメラによる摂食時の動画撮影と臼歯部移送試験・舌圧測定、オーラルディアドコキネシス、グミゼリー咀嚼時のグルコース溶出量測定法(可能な場合)を実施する。 動画は、正面、両側面、正中から45度の5方向から、被験者口角水平線上で撮影を行う。そして、複数の咀嚼・嚥下機能評価の専門家が独立して評価を行い、その検者内・検者間一致度を算出する。また評価に適した動画撮影方向を患者データにおいて再度検討する。 臼歯部移送試験・舌圧測定、オーラルディアドコキネシス、グミゼリー咀嚼時のグルコース溶出量測定法の評価結果と、動画からの診断結果の相関を確認する。また、専門医の診断結果(ゴールドスタンダード)と動画からの診断結果のROC曲線を描き、感度・特異度を算出して診断精度を確認する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により、患者での研究データ収集が困難であったため、計画していた検査用消耗品や検査機器の購入を延期し次年度使用額が生じた。今後はまず新型コロナウイルス感染症の非多発地域の病院で、少数例の患者を対象にしたデータ収集を開始する。それに向け、必要な機器等を購入し予算を使用する計画である。
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