2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of a novel oral cancer treatment using photodynamic therapy using blue light
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20K10127
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
吉野 文彦 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 准教授 (20308307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 彩佳 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 准教授 (00609414)
居作 和人 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 講師 (90257296)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 5-アミノレブリン酸 / プロトポルフィリンIX / 光線力学療法 / 口腔扁平上皮癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
5-アミノレブリン酸 (5-ALA) は癌細胞に適用した際に,細胞内でプロトポルフィリンIX(PpIX)に代謝変換される。本研究は,PpIXへの光照射で生じる活性酸素種による癌細胞への殺細胞効果の確立を目的としており,本年度は 5-ALA 適用による口腔扁平上皮癌細胞への殺細胞効果の諸条件の検討を行なった。癌細胞は歯肉癌由来細胞株 (Ca9-22) およびヒト口腔扁平上皮癌細胞株 (HSC-3) を用いた。5-ALA適用濃度依存による細胞内PpIX濃度変化を検討するため,0-100 mM 5-ALAを Ca9-22および HSC-3 へ作用させ,4,6,24時間インキュベート後,細胞内PpIX濃度を蛍光プレートリーダーを用いて測定した。その結果,作用時間依存的に細胞内 PpIX 濃度の増加が認められた。また,5-ALA 25.0 mM までは 5-ALA 濃度依存的な細胞内 PpIX 濃度の増加が認められたが,25.0 mM以上の濃度では細胞内 PpIX 濃度は低下傾向を示した。Ca9-22およびHSC-3の細胞間における PpIX 濃度は,5-ALA 適用4時間までは Ca9-22で高い濃度が観察されたが,6時間以上の作用時間では HSC-3 で PpIX 濃度が高くなる傾向が観察された。一方,未処理群と比較し,細胞内 PpIX 濃度は最大で4倍程度であり,光照射により殺細胞効果をさらに効果的に行うためには望ましい濃度ではない可能性がある。特に,口腔扁平上皮癌細胞は細胞内 PpIX の貯蔵が悪いことが知られており,これは PpIX が細胞内の二価鉄と結合しヘムになる速度が早いことが想定されており,この問題を解決するため,現在 5-ALA 適用の際,無血清培地を用いる,もしくは鉄キレーターであるデフェロキサミンを用いることで細胞内 PpIX 濃度の増加を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Covid-19 のため,試薬調達に時間を要し研究の開始が遅れた。また,緊急事態宣言に伴う在宅勤務,および一時的な大学共同研究施設使用禁止のため,実験をするための時間が著しく減少し,研究計画が遅滞している。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞内鉄イオンの影響を排除することで,細胞内 PpIX 濃度の増加が予想されるため,本現象を確認し,最終的な実験条件を設定後,令和3年度に予定されている口腔扁平上皮癌細胞に対する光線力学療法による殺細胞効果の検討を行う予定である。なお,殺細胞効果の検討はアポトーシス誘導を Caspase 3/7 活性測定で確認する。細胞生存率の測定には Cell Counting Kit-8 による生細胞測定により観察する。光照射は約 450 nm の青色 LED 光および,従来光線力学療法で使用されている約 600 nm の赤色 LED 光を使用する計画である。
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Causes of Carryover |
Covid-19 のため,予定されていた国内旅費の支出が行われなかった。また,研究室が一時的に閉鎖により,研究計画予定内容の実験が計画通り遂行出来なかったため,次年度使用額が生じた。
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